石川・富山・ 福井「北陸」三都物語 第15回(全23回) 2024年に新幹線でつながる北陸3県は、その地の文化を発信する新たなスポットが次々と誕生し、今、最も注目を集めるエリアです。アート、伝統工芸、日本酒や美食処など、魅力溢れる夏の北陸をご案内します。
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話題の美食処を目的地に、富山で途中下車
氷を張ったつるべに涼やかに盛られた「白海老 たたきおくら 金時草の浸し」。白海老の殻でとっただし汁も爽やかなのどごし。ガラス器は、下の写真のお造りの器とも富山を拠点に制作する三野直子 作。海老亭別館
装い新たに、洗練を極めた富山の幸を
甘みとねっとりとした口当たりが特徴の「富山海老のお造り」。炭火で焼いた頭の中にある濃厚なみそも逸品だ。“天然の生け簀”と称される富山湾の海の幸、立山連峰の大自然が育む山の幸など、食材の宝庫・富山。その富山随一の料亭として愛されてきた名店が4年半の休業を経て、2022年秋、立地も建物も新たに開業しました。
徳島の「青柳」で修業した後、家業を継いだご主人の村 健太郎さん。食材と実直に向き合い、正統な仕事の上に仕立てられた端正な日本料理を目当てに遠方から訪れる人も数知れず。また、この移転・新築の期間も自身を高める好機ととらえ、東京で料理の研鑽を積んだ姿勢にも人柄が窺われます。
「器も一から見直してあつらえ、ソムリエの資格も取得するなど、目一杯の再修業期間を過ごしました」と村さん。
献立には、自ら漁船に乗って沖漬けするホタルイカや白海老などの富山名物はもちろんのこと、新たな試みとしてワインのペアリングも提案。
締めの食事は、お酒を楽しみたい人、ご飯を味わいたい人両方を満足させるため、白飯と酒のつまみを同じお膳で提供するなど、心憎い配慮が。より磨きのかかった富山の美食に出会えます。
すまし仕立ての「毛蟹のしんじょう」。中に潜むみそを溶かし、味の変化も楽しめる。小皿には、じゃことちりめん山椒、バイ貝の旨煮、なすのよごし、ホタルイカの沖漬けなど、酒肴となる珍味が並ぶ。白飯は奥さまの実家で作られた小矢部産のコシヒカリ。富山駅から車で5分ほどの松川沿いに佇み、カウンター席からは、桜の木々を望む。1階が待合い、2階にカウンター席と個室2部屋を設けている。高い志を持つ地元の料理人とも交流しながら腕を磨くご主人の村 健太郎さん。 Information
海老亭別館
富山市安野屋町2-4-10
TEL | 076(432)3181 |
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営業時間 | 12時一斉スタート(火曜・土曜のみ)、18時~19時30分(最終入店) |
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定休日 | 日曜定休ほか不定休あり |
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撮影/本誌・西山 航 取材・文/直江磨美 協力/とやま観光推進機構 料理内容などは諸般の事情により変更になることがあります。掲載の料金には別途サービス料等がかかる場合があります。
『家庭画報』2023年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。