令和の御代の新しいかたち 第4回(全5回) 天皇皇后両陛下は令和5年6月9日、ご結婚満30年をお迎えになります。長きにわたり、お二人で語り合うことを大切になさり、喜びも悲しみも分かち合いつつ歩んでこられた両陛下。令和2年春以降、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、受け継がれてきたご活動を同じように行うことさえ困難を極めましたが、その厳しい局面にあっても模索と工夫を重ねられ、国内外のかたがたとの交流の道を、新たなかたちで拓かれました。そのご足跡をご紹介いたします。
前回の記事はこちら>> 昨年3月17日、ご成年をお迎えになって初めての記者会見で、愛情を注いで育ててくださった両陛下への感謝の思いを語られた愛子さま。その一部を抜粋してご紹介します。
※愛子内親王殿下を文中でお呼びする際は愛子さまと記載いたしました。令和4年3月17日に開かれた記者会見で、一つ一つの質問に対し、ユーモアを交えながら丁寧にお答えになる愛子さま。写真/朝日新聞社両親は、私の喜びを自分のことのように喜び、私が困っているときは自分のことのように悩み、親身に相談に乗ってくれるような、私がどのような状況にありましても、一番近くで寄り添ってくれるかけがえのない有り難い存在でございます。これまでたくさんの愛情を注ぎ育ててくださったことに深く感謝しております。また、両親と話をしておりますと、豊富な知識や経験に驚かされることが多々ございまして、また、両親の物事に対する考え方や、人との接し方などからは学ぶことが多くございます。
平成14年3月1日、皇太子妃殿下(当時)に抱かれる満3か月の愛子さま。写真/宮内庁提供両親との思い出といいますと、やはり私の学校の長期休みに出掛けた旅行のことが真っ先に思い浮かびます。どの旅行も非常に思い出深いものでございますけれども、静岡県の下田市にある須崎御用邸に行き、海で泳いでいる時に、綺(き)麗なお魚の群れを発見して皆で観賞しましたり、また、須崎はほとんど波のない穏やかな海でございますけれども、サーフボードを浮かべて、そこに3人で座る挑戦をして、見事全員で落下した思い出など、お話しし始めると日が暮れてしまうかもしれません。
平成18年6月18日、雨の中、学習院幼稚園での父親参観に向かわれる皇太子殿下(当時)と愛子さま。写真/朝日新聞社日頃から、家族では、その日にあった出来事などいろいろな話をいたします。最近では、北京オリンピックやパラリンピックを観戦して、その試合の様子について話したり、感動を共有したりいたしました。アスリートの皆さんのひたむきに競技に打ち込まれる姿や、夢の舞台を最大限に楽しもうとされる姿には、たくさんの感動や希望、そして勇気を頂きました。
平成20年11月4日、赤坂御用地を散策なさる皇太子殿下(当時)ご一家。愛犬のピッピとまりのイニシャルをあしらったスカーフは、愛子さまが職員の助けを借りながらお作りになったもの。写真/宮内庁提供また、両親と一緒に、飼っている犬や猫と触れ合う時間も、私の心安らぐ時間になっていると感じております。
これからも、ペットを含め、家族で過ごす時間を大事にしてまいりたいと思っております。(略)
平成30年8月16日、静岡県下田市にある須崎御用邸近くの三井浜にて、散策中に拾った貝殻を笑顔で披露されるご一家。写真/朝日新聞社──中略──
(略)両親は私がどのような状況にありましてもいつも私の気持ちに寄り添ってくれて、また、何か問題に直面した時は、その問題に真剣に向き合ってくれまして、私の意見や考え、気持ちを尊重しつつ、的確なアドバイスをくれたように思います。そして、両親からもらった大きな愛情や励ましが、そのような時に私の支えとなっておりました。また、両親にどのような言葉を伝えたいかという御質問でございますけれども、母の「生まれてきてくれてありがとう」という言葉に掛けて、私も「生んでくれてありがとう」と伝えたいと思います。
令和3年12月5日、ティアラや勲章を着用し、ローブデコルテの正装で成年行事に臨まれる愛子さま。写真/朝日新聞社また、これまで両親には様々な機会を与えていただいたり、私の成長を、愛情を持って温かく見守ってきていただいていて、そして、そういった両親の生活面で支えてくれているところなどにも深く感謝しておりますので、そのことについてお礼を伝えたいと思います。そして、「これからもどうかお体を大切に。これからも長く一緒に時間を過ごせますように」という言葉も添えたいと思います。(略)
※おことばの抜粋において、段落ごと略した場合は「──中略──」、段落内の一部を略した場合は「(略)」と記載して区別しています。協力/宮内庁 文/大山直美
『家庭画報』2023年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。