采子のタンスの引き出し〜足もとのお洒落
今月から、きものにまつわる私流の装いのこだわりやちょっとしたアイディアをご紹介させていただきます。新コーナーの皮切りにお伝えしたいことは、足もとのお洒落です。
私は草履のほとんどを、「ぎをん内藤」で誂えています。白の台と共の花緒に赤の緒を効かせた一足は、どんな装いにもフィットする万能の配色。定期的に花緒をメンテナンスしていただくと、その度ごとに新品のようになり大切に時間を重ねています。
こちらの二足も、同じく「ぎをん内藤」で誂えたもの。赤い絞りや薄紅の花緒は、泥大島など渋い紬を大人可愛い表情に仕上げる際に欠かせない存在です。
最後にご紹介するのは、誂えものの白足袋です。
「お誂え」なんて聞くとすごく特別で高価なイメージがありますが、ほんの少し割高なだけ。ジャストサイズに誂えたものは、糊もアイロンもかけなくてもピタッとシワひとつなく足を包みます。アイロンをかけない理由はもう一つ。足袋は(アイロンをあてて)キャラコ地がてかったら、かえって野暮。どこも余りのない足袋を洗いざらしのまま履くことがきものの本当のお洒落」。そう教えてくれたのは、紬屋吉平の女将・浦沢月子さんでした。
一色采子/Saiko Isshiki
女優
日本画家の故・大山忠作氏の長女として東京都に生まれる。毎日をきもので暮らしたお母様のもとで、コーディネートや着こなしのセンスを磨き、現在はファッションのアイテムを取り入れながら独自のスタイルを楽しむ。趣味の日本舞踊や三味線、長唄では名取になるほど、古典芸能への造詣も深い。現在は、福島県にある二本松市大山忠作美術館の名誉館長や二本松市の観光大使も務める。
【連載】女優 一色采子の「母のタンス、娘のセンス」