玉すだれを折敷に見立て、五色のふきながしと梶の葉を飾る。旬の稚鮎は唐揚げに。鰻の白焼きは中華風に仕上げて糸瓜にのせ、生胡椒の塩漬けを添えて。短冊に見立てた人参入りのパンには、梅干しとクリームチーズのディップを絞る。
料理・文=三枝政代(料理家)打ち水、風鈴、蟬時雨、蚊取り線香、稚鮎、釣り忍、蛍、草いきれ、夕立……五感が研ぎ澄まされる夏には、人それぞれ懐かしい思い出があるのではないでしょうか。
七夕に願い事を書く五色の短冊。紙が貴重な時代には梶の葉を用いました。産毛があるため墨で文字を書くことができ、天の川を渡る折に使う “舵” に縁をもたせたともいわれます。おおらかに広がる葉は、神様に食物を捧げる器でもありました。
美しいものや新たな知にふれ、年齢を重ねた今もなお挑戦する楽しみに心が湧きます。夏空を見上げ、新たな願い事を短冊にしたためてみます。
土用の丑の日には、「う」の字のつく鰻や瓜などを食し、衣類や書物に風をあて土用干しをします。こちらも古くから続く暑気払いの習慣です。
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