レッドカーペットに派手なし&季節なし
「いくらなんでも派手すぎるかしら……」と言いながらも、伯母さまが描いたという訪問着に初めて袖を通す喜びにあふれて。イベントの本番は6月15日、きもの暦に従うと単衣の季節。「なんといってもレッドカーペットですから。少々派手に感じるくらいが“バエる”はずです!」と、本連載の取材中だったスタッフ一同。華やかな単衣の訪問着を探しにかかるも、シックなテイストを好まれたお母さまの単衣のラインナップは、大半が凛としたシックな織りのきものでした。
そこで、ご提案させていただいたのが、光沢の美しいペールミントの地に、コーラルレッドの芥子が躍動的に咲き誇る訪問着です。芥子の花が描かれていることからもご想像いただけるように、実はこちらは袷仕立て。
この頃は、“夏の結婚式でも現地で着用するなら、袷のきものも許される”という暗黙の了解があります。結婚式よりも、さらに特殊なレッドカーペットの場面であれば、同様のセオリーも許されるのでは?との考えに至った次第。
縮緬のような質感なら重たく感じられるかもしれませんが、訪問着は繻子のような薄手の質感。瑞々しい染め色と相まって、あたかもこの日のために用意されたかのよう。さらに、雲の文様を織り出した白地の帯が涼やかな抜け感となり、ご覧のとおり清々しいコーディネートに。レッドカーペットに華を添える装いとなりました。
「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京」は、世界中で愛される映画「ハリー・ポッター」や「ファンタスティック・ビースト」の映画製作の裏側を学べる、全く新しいウォークスルー型のエンターテイメント施設です。ぜひ、きものでお出かけください。
https://www.wbstudiotour.jp/カーペットの赤と芥子のコーラルレッドが響き合って。列席者の女性できもの姿は阿川さんただ一人、同席された方々からも称賛されていたご様子でした。撮影:堤 博之
阿川佐和子(あがわ・さわこ)
©Akinori Ito作家・エッセイスト 1953年東京生まれ。大学卒業後、テレビ番組でのリポーターを機に、報道番組でのキャスターや司会を務める。映画やドラマに出演するなど女優としても活躍。『週刊文春』(文藝春秋)では対談「阿川佐和子のこの人に会いたい」を、『婦人公論』(中央公論新社)、『波』(新潮社)他では多くのエッセイを連載。テレビ朝日系列『ビートたけしのTVタックル』にレギュラー出演中。『母の味、だいたい伝授』(新潮社)他、著書多数。