古代メキシコ文明の貴重な文化財の展覧会が開催中。東京国立博物館学芸研究部調査研究課 考古室長の井出浩正さんにお話を伺った。
「メキシコは2018年に外交樹立130年を迎えた友好国のひとつです。35もの世界遺産を擁し、多くの日本人研究者が現地で発掘調査や研究を行っています。本展は、テオティワカン文明研究の世界的な権威である杉山三郎先生(アリゾナ州立大学)の監修のもと、メキシコ国立人類学歴史研究所の協力を得て、テオティワカン文明、マヤ文明、アステカ文明などの古代メキシコの代表的な作品の展示が実現しました」
鳥形土器 テオティワカン文明、250~550年 テオティワカン、ラ・ベンティージャ出土 メキシコ国立人類学博物館蔵 ©Secretaría de Cultura-INAH-MEX.Archivo Digital de las Colecciones del Museo Nacional de Antropología. INAH-CANON本展の見どころは?
「パレンケの13号神殿出土の「赤の女王」のマスクや出土品は本邦初公開であり、必見です。また、文明ごとの展示のなかで、トウモロコシや天体と暦、球技、人身供犠(じんしんくぎ)といった各文明を横断する4つのキーワードを設定しましたので、それぞれを見比べてみても面白いと思います」
赤の女王のマスク・冠・首飾り マヤ文明、7世紀後半 パレンケ、13号神殿出土 アルベルト・ルス・ルイリエ パレンケ遺跡博物館蔵 ©Secretaría de Cultura-INAH-MEX. Foto: Michel Zabé碑文の神殿(パカル王墓)と13号神殿(赤の女王墓) ©Secretaría de Cultura-INAH-MEX「赤の女王」は、マヤの代表的な都市国家パレンケのパカル王妃とされ、辰砂(しんしゃ/赤い鉱物)に覆われて見つかったことからこう呼ばれている。最後に、メッセージをお願いした。
「メキシコに息づく古代文明の魅力を広く発信し、両国のよりいっそうの相互理解や交流を発展させたいと考えています。多様な自然環境から生み出された力強い世界観と造形美を、ぜひ肌で感じてください」
トラロク神の壺 アステカ文明、1440~69年 テンプロ・マヨール、埋納石室56出土 テンプロ・マヨール博物館蔵 ©Secretaría de Cultura-INAH-MEX.Museo del Templo Mayor鷲の戦士像 アステカ文明、1469~86年 テンプロ・マヨール、鷲の家出土 テンプロ・マヨール博物館蔵 ©Secretaría de Cultura-INAH-MEX.Museo del Templo Mayor 特別展 古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン
東京国立博物館 平成館~2023年9月3日
休館日:月曜、7月18日(ただし7月17日、8月14日は開館)
開館時間:9時30分~17時(土曜は19時まで、7月7日~9日は20時まで)
観覧料:一般2200円ほか
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
URL:
https://mexico2023.exhibit.jp※入館は閉館30分前まで
表示価格はすべて税込みです。
構成・文/安藤菜穂子
『家庭画報』2023年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。