作家の創作秘話をドキュメンタリーではない手法で伝えてくれる2作。
『プチ・ニコラ パリがくれた幸せ』にはフランスの2人のクリエイターが手がけ50年以上にわたって愛され続け、世界30か国で翻訳されている児童書『プチ・ニコラ』(日本語版は世界文化社刊)の誕生秘話と原作者たちの激動の人生と友情が描かれている。
『プチ・ニコラ パリがくれた幸せ』
© 2022 Onyx Films–Bidibul Productions–Rectangle Productions–Chapter2 配給:オープンセサミ、フルモテルモイラストレーターのサンペと作家のゴシニが、やんちゃな小学生のニコラに命を吹き込み、幸せでわくわくする子どもの日常の物語が紡がれていく。初アニメ化された『プチ・ニコラ』と2人の実話に基づいた物語が絶妙なバランスで合わさっている。水彩画のような美しいパリの光景と音楽も素敵だ。
本作は第75回カンヌ国際映画祭に正式出品され、2022年のアヌシー国際アニメーション映画祭で最高賞であるクリスタル賞を受賞した。
『小説家の映画』
© 2022 JEONWONSA FILM CO.ALL RIGHTS RESERVED 配給:ミモザフィルムズ『小説家の映画』は名匠ホン・サンスの新作で、ベルリン国際映画祭で3年連続4度目の銀熊賞受賞の快挙を遂げた作品。
ベテラン女優のイ・ヘヨンが演じる“小説家”とホン監督のパートナーのキム・ミニが演じる“女優”が出会い、映画を創るという約束を通して、人生のめぐり合わせや人間の本質が深く描かれている。
日常の一部を切り取ったような飾り気のなさが新鮮だ。
『プチ・ニコラ パリがくれた幸せ』
2022年 フランス 86分
原作/ルネ・ゴシニ、ジャン=ジャック・サンペ
監督/アマンディーヌ・フルドン、バンジャマン・マスブル
脚本・セリフ・脚色/アンヌ・ゴシニ、ミシェル・フェスレー、バンジャマン・マスブル
グラフィック・クリエイター/ジャン=ジャック・サンペ
声の出演/アラン・シャバ、ローラン・ラフィット(コメディ・フランセーズ所属)、シモン・ファリュ
URL/
https://petit-nicolas.jp/新宿武蔵野館、ユーロスペースほか全国公開中
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『小説家の映画』
2022年 韓国 92分
監督・脚本・製作・撮影・編集・音楽/ホン・サンス
出演/イ・へヨン、キム・ミニ、ソ・ヨンファ、パク・ミソ、クォン・ヘヒョ、チョ・ユニ、ハ・ソングク、キ・ジュボン、イ・ユンミ、キム・シハ
URL/
https://mimosafilms.com/hongsangsoo/2023年6月30日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開 構成・文/山下シオン
『家庭画報』2023年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。