クリアな視界は脳を活性化させる。更年期から気をつけたい目の病気:白内障、緑内障、ドライアイ
天野惠子先生静風荘病院特別顧問、日本性差医学・医療学会理事、NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長。1942年生まれ。1967年東京大学医学部卒業。専門は循環器内科。東京大学講師、東京水産大学(現・東京海洋大学)教授を経て、2002年千葉県立東金病院副院長兼千葉県衛生研究所所長。2009年より静風荘病院にて女性外来を開始。目の構造
*目の圧力(眼圧)は角膜と水晶体の間を満たす房水で調整されている。房水は毛様体で作られ、隅角を通って主にシュレム管から排出される。白内障
●水晶体が濁り視力が低下
●主な原因は加齢
●女性の総患者数は100万人超え成分のたんぱく質が酸化して水晶体(外からの光を集めてピントを合わせるレンズの働きをする)が濁り、視力が低下する病気が白内障です。
加齢とともに増え、総患者数は女性108万6000人、男性62万9000人(『国民衛生の動向2022/2023』)と女性に多く、紫外線や糖尿病なども原因となります。
水晶体の中心部から濁る核白内障、周囲から濁る皮質白内障、後ろの部分から濁る後嚢下(こうのうか)白内障などの種類があります。
症状·見えにくい、かすんで見える
·二重、三重に見える
·眼鏡やコンタクトレンズの度数が変わる
·まぶしい
·目が疲れる、頭痛がする など
緑内障
●視野が少しずつ欠けていく
●早期発見・早期治療が大事
●40歳以上の20人に1人の有病率緑内障は何らかの原因で眼圧が上昇し、視神経が障害されて視野が狭くなる病気です(日本人には眼圧が正常な正常眼圧緑内障も多い)。
初期に自覚症状はなく、気づいたときは相当進んでいることも。障害された視神経は戻りません。
40歳以上の5パーセントと有病率が高く、失明原因の第1位である緑内障は、眼科検診による早期発見と点眼薬などで進行を抑える治療が何よりも大事です。
症状·初期では自覚症状はない
·かなり進んでから見えない場所が出現する、視野が狭くなる など
ドライアイ
●女性の目は乾きやすい
●加齢、スマホ、コンタクトレンズ、エストロゲンの減少も原因に涙の量が不足したり、質が変化して涙が瞳に均等に行きわたらなくなる病気がドライアイです。
症状は、目が乾く、ゴロゴロするなどで、加齢のほかパソコンやスマホの見過ぎ、コンタクトレンズの使用、ストレスなどが指摘され、エストロゲン不足も関係するといわれています。
シェーグレン症候群という自己免疫疾患で目が乾くこともあるので、症状に思い当たるときは放置せず眼科を受診しましょう。
症状·目が乾く
·目がかすむ
·まぶしい
·目が疲れる、痛い、ゴロゴロする
·目が充血する
·目やにが出る など
ドライアイ、緑内障と女性ホルモンの関係は?
エストロゲンは“目を守る”エストロゲンには全身に潤いを保つ働きがあります。目が乾くドライアイは、ドライスキン、ドライマウス、ドライバジャイナ(腟の乾燥)と並ぶ更年期のドライシンドロームの一つといわれています。
また、最近の研究で、エストロゲンが緑内障の視野欠損に関係する網膜神経節細胞の酸化反応を抑制し、視神経を保護している可能性が明らかになっています。
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*NPO法人性差医療情報ネットワーク「女性外来マップ」では、女性外来を開設している医療機関(2018年現在約300か所)のリストを公開。
URL:
http://www.nahw.or.jp/hospital-info*「女性外来オンライン」(天野惠子先生主宰)では、天野先生ご自身が厳選した女性の健康の回復や維持に役立つ信頼性の高い情報を発信しています。
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