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目の病気の原因は「加齢」だけではありません。知っておきたいリスクと対策

2023.07.05

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天野惠子先生のすこやか女性外来 第14回(03)北極圏への旅行中に強い紫外線を浴び、白内障の手術を受けた経験をお持ちの天野先生。「目の健康はとっても大事。眼科検診を忘れずに」との言葉に実感がこもります。目の病気は概して男性より女性に多く、エストロゲンの減少がリスクになることも。眼疾患の中でも患者数が多く、更年期以降の女性が気をつけたい3つの病気を取り上げます。前回の記事はこちら>>

クリアな視界は脳を活性化させる。更年期から気をつけたい目の病気白内障、緑内障、ドライアイ


天野惠子先生
天野惠子先生

静風荘病院特別顧問、日本性差医学・医療学会理事、NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長。1942年生まれ。1967年東京大学医学部卒業。専門は循環器内科。東京大学講師、東京水産大学(現・東京海洋大学)教授を経て、2002年千葉県立東金病院副院長兼千葉県衛生研究所所長。2009年より静風荘病院にて女性外来を開始。

加齢だけが原因ではない。クリアな視界を保つ生活を



予防が難しいとされる緑内障は眼科検診による早期発見が最も重要です。一方、白内障やドライアイの発症・進行には加齢以外に環境要因が大きく関係しています。

紫外線を避けることや、コンタクトレンズ、パソコン、スマホの使い方にも注意しましょう。食事・運動・睡眠を整えストレスを軽減するなど生活習慣の改善も、目の健康維持のための基本です。

〔白内障〕の原因と対策


【原因】
●加齢
●紫外線
●薬物(副腎皮質ステロイド、向精神薬など)
●糖尿病
●喫煙
●放射線 など
*日本白内障学会HPをもとに編集部で作成

【対策】
●生活習慣病の予防
糖尿病、高血圧・高脂血症・心血管系疾患などの病気を予防する。禁煙

●食生活の改善
抗酸化効果の高い野菜や果物を毎日摂取する。AGE(終末糖化産物。老化の原因物質)を多く含む食品(炭酸飲料、揚げ物、スナック類、バターなど)を多く摂らない

●紫外線対策
つばの広い帽子や日傘、サングラスを用いる。紫外線カット効果のあるソフトコンタクトレンズを使う

ドライアイ

部屋の湿度を適度に保ち、パソコン作業中は適宜休憩を取る、目が疲れたらホットアイマスクや蒸しタオルを目に当てるなどでドライアイの予防を。

〔ドライアイ〕の原因と対策


【原因】
●パソコンやスマホの長時間使用
●夜型の不規則な生活・運動不足
●空気の乾燥
●加齢
●ストレス
●コンタクトレンズの使用
●薬の副作用
●目の手術後
●内科的疾患(シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群など) など
*ドライアイ研究会HPをもとに編集部で作成

【対策】
●パソコン・スマホの作業中は――
瞬きを意識的に増やす。1時間に15分は休憩を挟み画面から離れる。パソコンの画面の位置を目より下にする(目を大きく見開かなくて済む)

●部屋の中は――
加湿器で乾燥を防ぐ、エアコンの風を直接目に当てない

●コンタクトレンズは――
使用中に充血や目がゴロゴロするなどの症状が出たら外す。眼鏡と併用して使用時間を短くする

●市販の目薬は――
乱用しない。点眼液に含まれる防腐剤や刺激物の副作用がある



加齢などによる目の機能低下“アイフレイル”を知っていますか?


加齢に外的ストレスが加わって生じる視機能の低下をアイフレイルといいます。

衰えが進むと社会的フレイル(外出や社会参加の減少)、身体的フレイル(移動機能の低下)、心理的・認知的フレイル(うつ、認知機能の低下)にもつながり、自立の大きな妨げに。

日本眼科学会、日本眼科医会などからなる日本眼科啓発会議が「目の健康寿命をのばそう」をスローガンに啓発活動を行っています。

50歳を過ぎたら無症状でも年に1回、眼科検診を受けましょう


目の病気は自覚症状が現れにくく、定期的な眼科検診が重要です。50歳を過ぎたら毎年眼科検診を受けましょう。

緑内障、白内障のほか加齢黄斑変性、糖尿病網膜症など重大な病気の多くが検診によって見つかっています。

検診では視力検査、眼圧検査、視野検査、眼底検査(視神経や網膜の状態を診る)、細さいげきとう隙灯顕微鏡検査(眼球の表面、水晶体、硝子体を調べる)などが行われます。


*NPO法人性差医療情報ネットワーク「女性外来マップ」では、女性外来を開設している医療機関(2018年現在約300か所)のリストを公開。
URL:http://www.nahw.or.jp/hospital-info

*「女性外来オンライン」(天野惠子先生主宰)では、天野先生ご自身が厳選した女性の健康の回復や維持に役立つ信頼性の高い情報を発信しています。

公式サイト「女性外来オンライン」:https://joseigairai.online/

YouTube「女性外来オンラインチャンネル」はこちら>>

天野惠子先生のすこやか女性外来

1「更年期は女性の体の“変化のはじまり”」
1−1 更年期と“その後”の元気のために、体の変化を知りましょう
1−2 女性の健康の守り神・エストロゲンがゼロになったら、生活習慣で補いましょう
1−3 更年期の不調や病気予防に! 女性医療の先駆者が教える生活習慣の「基本5か条」
1−4 女性外来を訪ねて「伊豆美レディスクリニック」

2「だるさ、頭痛、冷え、動悸も。更年期の不調は全身に」
2-1 10年間、我慢するのはもったいない。自分に合う対処法を見つけましょう
2-2 更年期の症状が全身に出るのはなぜ? 訴えの多い10の不調と対処法
2-3 更年期症状の程度を知り、適切な対処法を。専門医も使う簡易テストでセルフチェック!
2-4 女性外来を訪ねて「春日クリニック」

3「不眠、イライラ、うつ、思考力低下。更年期は心も脳も不安定」
3-1 不眠、イライラ、うつ、思考力低下…。更年期のメンタルの不調を正しく知ろう
3-2 更年期のメンタルヘルスを左右する3つの物質とは。減少すると起こる不調は?
3-3 更年期のメンタルを改善するには? 症状に応じた漢方薬や生活習慣の見直しを
3-4 女性外来を訪ねて「こころとからだの杉本クリニック」

4「女性の元気を支える“骨・筋肉・血流”の三本柱」
4-1 更年期以降の人生を健やかに過ごすには、“骨・筋肉・血流”の三本柱が大切です
4-2 骨量と筋肉量は何歳からでも改善できる! まず年齢による変化を知りましょう
4-3 脳と心臓の健康を保つカギは「血流」。動脈硬化を防ぐために注意したい3つのリスク
4-4 女性外来を訪ねて「和歌山ろうさい病院 女性専門外来」

5「骨粗しょう症を予防し、“転んでも折れない骨”をつくる」
5-1 骨粗しょう症を予防するために、骨量維持は更年期女性の重要な“ミッション”!
5-2 “女性であること”が骨粗しょう症のリスク!? 骨量減少に気づくために5年に1度の骨密度検査を
5-3 骨は自分でつくるもの。骨粗しょう症を防ぐために、実践したい食事と運動とは?
5-4 女性外来を訪ねて「アットホーム表参道クリニック」

6「“高血圧なんて関係ない”は大きな間違い。今から減塩を」
6-1 自分には関係ないと思っていませんか? 更年期以降、誰にも高血圧のリスクが生じます
6-2 加齢とともに女性の血圧は3段階で変化します。自分の“高血圧リスク”を知って対策を
6-3 血圧を下げるための7か条とは? 自然に減塩できる野菜スープのレシピも
6-4 女性外来を訪ねて「山梨県立中央病院 女性専門家」

7「心筋梗塞や狭心症のリスクを高める女性の糖尿病」
7-1 女性の糖尿病は男性以上に高リスク! 更年期以降は血糖値を上げない生活を
7-2 血管に及ぼす影響は大! 女性こそ注意すべき「糖尿病」とはどんな病気?
7-3 自分の“糖尿病リスク”を知って、今から対策を! 実践したい生活習慣もご紹介
7-4 女性外来を訪ねて「ソフィア北円山クリニック」

8「女性の脂質異常症は、過剰に怖がらなくて大丈夫」
8-1 コレステロールも中性脂肪も必要な栄養素!? 性差で考える“女性の脂質異常症”
8-2 更年期以降の女性は脂質異常症になりやすい体に。コレステロールが増えても慌てないで!
8-3 コレステロールは自力でコントロール! 薬の前に生活習慣を改善しましょう
8-4 女性外来を訪ねて「順天堂大学医学部附属浦安病院 女性専用クリニック」

9「更年期から気をつけたい心臓の血管にかかわる病気」
9-1 更年期以降増え始める女性の「狭心症・心筋梗塞」。気をつけたい心臓の血管にかかわる病気
9-2 更年期以降気をつけたい「狭心症・心筋梗塞」とはどんな病気? 男性との違いも解説
9-3 狭心症・心筋梗塞の症状には性差が! 女性の症状は広範囲に及び、診断されにくい
9-4 女性外来を訪ねて「高知いちょう医院」

10「動悸は更年期以降によくある症状。心配のいらない加齢現象です」
10-1 動悸は自律神経の乱れで生じる、更年期症状の一つ
10-2 「動悸・息切れ、不整脈」は中高年女性に多く、精神的ストレスの影響も
10-3 動悸・息切れが起きたときの対処法や予防法
10-4 女性外来を訪ねて「西松園内科医院」

11「20年後、30年後の元気のために更年期から脳卒中の予防を」
11-1 くも膜下出血は女性に多い。50歳になったら全身の健康チェックを行いリスクを洗い出しましょう
11-2 脳卒中には血管が詰まるタイプと破れるタイプがある
11-3 家族歴のある女性は特に気をつけたい「くも膜下出血」
11-4 女性外来を訪ねて JCHO久留米総合病院 女性総合診療科「なでしこ」

12「今から始める認知症対策。恐れるより、まず知ることからを」
12-1 女性はリスクが高いからこそ、“ならないための心がけ”が大事。予防の一歩は正しい知識から
12-2 認知症の7割近くはアルツハイマー型認知症
12-3 更年期の物忘れは、認知症とは違います
12-4 女性外来を訪ねて「岡山中央病院セントラル・クリニック伊島 ウィミンズメディカルセンター」

13「認知症は“生活習慣病”です。予防のために今、できること」
13-1 認知症は“生活習慣病”です。日常生活の改善と難聴対策も忘れずに
13-2 研究からわかった認知症のリスク要因
13-3 天野先生がすすめる5つの認知症予防策
13-4 女性外来を訪ねて「京都大学医学部附属病院 産科婦人科 ヘルスケア外来」

14「更年期から気をつけたい目の病気白内障、緑内障、ドライアイ」
14-1 更年期から気を付けたい3つの目の病気。50歳を過ぎたら毎年眼科検診を
14-2 更年期から気をつけたい白内障、緑内障、ドライアイ
14-3 目の病気の原因は「加齢」だけではありません。リスクと対策
14-4 女性外来を訪ねて「回生病院 女性漢方外来・ペインクリニック科」(7/12公開予定)
イラスト/佐々木 公〈sunny side〉 取材・文/浅原須美

『家庭画報』2023年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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