本当です。睡眠時間が少ない人ほど太りやすいことがわかっています。
〔解説してくださるかた〕
大湯リハビリ温泉病院 常務理事 小笠原達記念温泉医学研究所 所長・温泉保養館館長 池田充宏(いけだ・みつひろ)先生筑波大学大学院にて疾病の運動処方の研究を開始、博士号を取得。45万人以上の健康管理に携わり、そのビッグデータの解析から誰もが無理なく取り組める健康管理法を導き出し、多くの企業や自治体を指導してきた。また、国内外のトップアスリートの能力評価、減量、トレーニング、リハビリにもかかわる。睡眠時間を増やすだけで肥満リスクを減らせます
2021年版の経済協力開発機構(OECD)の調査によると、日本人の平均睡眠時間は7時間22分と33か国中で最も短いことがわかっています。しかも、男性より女性の睡眠時間のほうが13分短かったのです。
2020年に行われたNHK放送文化研究所の調査でも男性の平均睡眠時間が7時間20分であるのに対し、女性は7時間6分と14分短くなっていました。年代別にみると最も短いのは50代女性(6時間36分)で、60代代女性(6時間52分)、40代女性(6時間53分)が続きます。
「さまざまな研究により睡眠時間が短い人は肥満リスクが上昇することが明らかになっています。なかでもよく知られているのが米国・コロンビア大学の研究です(下図参照)。この研究結果に照らし合わせると、平均睡眠時間が6時間台である40~60代女性は、肥満になるリスクが23パーセント高まることになります。やせたいのであれば夜更かしをせず、睡眠時間を7~8時間確保することが大切です。夜間の睡眠が十分に取れない場合は15分程度の昼寝を積極的に取り入れるのがよいでしょう」と池田先生はアドバイスします。
●睡眠時間が少ない人ほど太りやすい
睡眠時間と肥満との関係
Inadequate sleep as a risk factor for obesity.Analysis of the NHANES I.SLEEP 2005;28:1289-96を参考に作成米国のコロンビア大学が32~59歳の1万8000人を対象に睡眠時間と肥満になる確率を調べた研究では、7~8時間睡眠の人と比較して6時間睡眠の人は肥満になる確率が23パーセント、5時間睡眠の人は50パーセント、4時間以下睡眠の人は73パーセント高まり、両者には密接な関係があることが判明した。