もっとたっぷり夏野菜を食べたい! 日本料理の名店「六雁」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、今すぐ作れる、簡単でおいしい夏野菜料理のレシピを教わります。 ※この記事は、2021年7月~2022年6月に家庭画報.comで連載した「野菜料理の“ちょっとしたコツ”365」を再編集した書籍『銀座 六雁 野菜料理のすべて』からの抜粋になります。
いちじくの蜜煮、バルサミコカラメルかけ
【器名】彩変雫形小鉢文/榎園豊治日本料理は他国の料理に比べて、酢や酸味については後れを取っており、その用い方に多様性がありません。フレンチのように酸味を隠し味的にわずかに加えると、味わいが複雑になり、単調といわれる日本料理の味さばきにメリハリをつけることもできます。
この料理は先にレモンの風味と酸味を移した蜜を作り、蜜が沸いたところにいちじくを入れ、急冷して食感を残します。そのままでもおいしいですが、高温になったカラメルにバルサミコ酢を加えたものをかけると、さらに味に深みが出ます。
いちじくの蜜煮、バルサミコカラメルかけ
■材料(作りやすい分量)
・いちじく…4個
・水…300cc
・グラニュー糖…270g
・レモンスライス…1/2個分
■作り方
1)いちじくを湯むきする。(
「焼いちじくの田楽」参照>>>)
2)鍋に水とグラニュー糖を入れて火にかける。沸いたら、レモンスライスを加えて火からおろし、鍋のまま常温で冷まし、蜜にレモンの酸味と香りを移す。
3)鍋よりひと回り大きいボウルに氷水を用意する。
4)2の蜜にレモンの香りと酸味が移ったら、鍋を火にかける。沸いたらいちじくをまるごと入れ、10秒炊いたら、鍋ごと3の氷水に浮かべて鍋を回して急冷する。冷めたら冷蔵庫で保存し、味を含ませる。このままでもいいが、バルサミコカラメルをかけるとさらにおいしい。
バルサミコカラメル
■材料(作りやすい分量)
・水…80cc
・グラニュー糖…80g
・バルサミコ酢…大さじ1
・レモン汁…小さじ2
■作り方
1)少し大きめの鍋に水とグラニュー糖を入れて中火にかける。
2)沸いてきたら、鍋の内側についた蜜が焦げないように、水で濡らして軽く絞った刷毛で鍋肌をぬぐう。
3)温度と濃度が上がってくると、泡が段々小さくなってくる。通常のカラメルのように焦げの風味は必要ないので、鍋を揺すったり、かき混ぜたりしないで、刷毛で鍋肌をぬぐいながら静かに見守る。
4)3がごく薄い黄色になった瞬間に鍋を火からおろし、鍋底を濡れた布巾に当てたまま同時にバルサミコ酢を加え、鍋を揺する。続いてレモン汁を加え、鍋を揺すって全体が均一に混ざるようにする。
5)濃度を確認し、堅いようなら湯(材料外)を少量加えて緩める。※いちごなどのフルーツにかけても、スイーツのソースにしてもおいしい。
永久保存版。プロが教える、プロよりおいしく作れる野菜料理のコツ『銀座 六雁 野菜料理のすべて』
5500円(世界文化社)
予約の絶えない日本料理店「六雁」の店主 榎園豊治さんによる野菜料理大全。春夏秋冬の旬の野菜だけを使った料理を423品紹介しています。煮る、焼く、揚げるから野菜のデザートまで、家庭だからこそおいしく作れるコツが満載です。器づかい、盛りつけの美しさも堪能できる、永久保存版の1冊です。
榎園豊治(えのきぞの とよはる)
「六雁」店主。銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長。京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。
「六雁(むつかり)」東京都中央区銀座5-5-19 銀座ポニーグループビル6F・7F
電話 03‐5568‐6266
営業時間 17時30分~23時
定休日 日曜日、祝日
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:
http://www.mutsukari.com
撮影/大見謝星斗
『銀座 六雁 野菜料理のすべて』より。