天野惠子先生のすこやか女性外来 第15回(01)10代の頃、よく立ちくらみを起こしたという女性は多いのではないでしょうか。月経前や閉経前後にもめまいや耳鳴りは起こりがち。さらに加齢とともに耳の聞こえにくさも生じてきます。これらは女性が一生を通して経験する症状ですが、放っておかず、まずは受診を。適切な対応を施すことが何よりも重要です。
前回の記事はこちら>> 放っておかないこと、慣れてしまわないこと。若者も更年期世代も気になる女性のめまい、耳鳴り、難聴
天野惠子先生静風荘病院特別顧問、日本性差医学・医療学会理事、NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長。1942年生まれ。1967年東京大学医学部卒業。専門は循環器内科。東京大学講師、東京水産大学(現・東京海洋大学)教授を経て、2002年千葉県立東金病院副院長兼千葉県衛生研究所所長。2009年より静風荘病院にて女性外来を開始。「めまいも聞こえにくさもよくある症状。だからといって油断は禁物。まずは受診して診断を」─天野惠子先生
10代も50代も、女性はめまいを起こしやすい
“女性の一生にめまいはつきもの”といってよいほど、初経(初潮)を迎えた頃の立ちくらみに始まり、30~40代の月経前症候群や更年期症状など、ホルモンバランスや自律神経の乱れとも関係して女性は年代ごとに異なる要因でめまいを起こしがちです。
実際、女性外来を担当する多くの医師たちが、多岐にわたる訴えの中でも「めまい、ふらつき」は上位の主訴であると指摘しています。
症状は、体や周囲がぐるぐる回っているように感じる回転性めまい、立ち上がろうとすると体がふわふわする非回転性めまいなどさまざまで表現も人それぞれ。私が更年期に経験したのは、ふわーんと体をどこかに持っていかれるような感覚でした。
めまいはしばしば耳鳴りや難聴を伴います。稀に脳の病気が隠れている場合もあるのでまずは受診を。よくある症状ほど、油断して病気を見逃さない用心深さが必要です。
中高年だけでなく若者も。難聴のリスクが増えている
加齢性難聴は50歳頃から始まり、65歳以降急増します。自覚しにくいものですが、「テレビの音が大きい」などと指摘されたら軽度の難聴の可能性があります。
私の目下の懸念はヘッドホンやイヤホンで四六時中音楽を聴いている若者たちの耳。聴力がダメージを受けていることは研究データからも明らかで、若い世代への啓蒙も重要だと考えています。
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次回へ続く。
*NPO法人性差医療情報ネットワーク「女性外来マップ」では、女性外来を開設している医療機関(2018年現在約300か所)のリストを公開。
URL:
http://www.nahw.or.jp/hospital-info*「女性外来オンライン」(天野惠子先生主宰)では、天野先生ご自身が厳選した女性の健康の回復や維持に役立つ信頼性の高い情報を発信しています。
公式サイト「女性外来オンライン」:
https://joseigairai.online/YouTube
「女性外来オンラインチャンネル」はこちら>> 撮影/鍋島徳恭 取材・文/浅原須美
『家庭画報』2023年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。