藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
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白いカラーとごく淡い青紫のクレマチス、その中にボール状のルリタマアザミ‘ベッチーズブルー’を加えると、発色のよいメタリックブルーがブーケの印象をより強めます。カラーは‘サッポロ’、クレマチスは‘ソシアリス’。ゼラニウム、スペアミント、キイチゴ‘ベビーハンズ’をたっぷり加えてナチュラルに。結婚記念日にご主人から奥さまへの贈り花です。こんなメタリックな花色が自然界にあることに驚きます!
切り花では和名のルリタマアザミで出回りますが、庭花では学名のエキノプスでもおなじみだと思います。6月中旬〜8月中旬にかけて、お店にこの花がないことはありません。それほどこの時期の贈り花に、脇役として欠かせないのがルリタマアザミです。
なぜ欠かせないのか、ルリタマアザミの花色が加わるだけで、贈り花のインパクトがより強まるからです。
ブルー系の花色はどこかメタリックな雰囲気があり、「涼しげ」という意味でも「かっこいい」という意味でもまさにクールそのもの。こんな花色が自然に生まれてくることに驚きを感じ、魅了されずにいられません。
それにボール状の花形はとてもかわいらしく、サイズもちょうどよいので、脇役として使い勝手がよく、毎年ルリタマアザミが入荷するとこの花の優秀さを実感しています。
ルリタマアザミとデルフィニウムでさわやかな青いリースを作りました。そのままドライにして楽しめる贈り花も喜ばれます。ルリタマアザミにもいろいろな種類がありますが、最近よく使っているのが‘ベッチーズブルー’という品種です。ルリタマアザミの中でも青みが強い品種で、とくに「JAながのみゆき」に所属する「梨元農園」さんが生産する‘ベッチーズブルー’はすばらしく発色がよく、惚れ惚れするほどの美しさです。
涼しげな野の花などと合わせれば、ボール状の花形がアクセントとなり、またダリアやエキナセア、ジニアなど暖色系の多い夏の主役花と合わせると、ブルーの花色がこれまたアクセント効果を発揮してくれます。
夏の贈り花は、花もちも気になるところですが、ルリタマアザミに関してはその心配もほとんどありません。そのままドライになり、ドライになっても色褪せることがないからです。花もちに安心感があることも、夏場の贈り花に頻繁に使う理由です。
この時期にはお盆のお供えの贈り花もよくオーダーいただきますが、清涼感のあるルリタマアザミはそんなシーンでも大活躍してくれます。
藤野幸信/Yukinobu Fujino
広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「fleurs trémolo」(フルール トレモロ)オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。感動する花束を多くの人に届けたいという思いから、市場からだけでなく自ら生産者情報を入手してお気に入りの花を集める。何種類もの花を使ったブーケは、エレガントでナチュラル。著書
『大切な人への贈り花』も好評。
https://www.fleurs-tremolo.com 『人気フローリストが教える フラワーアレンジのデザイン&ヒント78 大切な人への贈り花』
誕生日、結婚記念日、ウエディングなど、78例のブーケ&アレンジメントを色別に掲載したオールカラーの大判の単行本。色別花図鑑コラムや全国の生産者データなどお役立ち情報やインデックスも充実。大切な人へ花を贈る際のヒントが満載です。