写真/yanagisawa makiyoshi/NATURE PRO.〈amanaimages〉したたかに生きていく
選・文=小林浩幸(雑草生態学者)ほんの2、30年前までは大豆やとうもろこしなどの夏畑作で最も重要な雑草だった。しかし除草剤に弱く、除草剤の利用が普通になった今、畑ではずいぶん減った。それでもしっかり生き続け、いまだに大発生することがある。
それは、メヒシバの本籍地が畑を取り巻く畦畔(けいはん)や道ばたで、種子が人や農業機械にくっついてたえず畑の中に入っているからだ。街でもごく普通に生育しているから、家庭菜園周りを歩いたあとにメヒシバの種子が長靴にびっしりくっついているのに気づいた経験のあるかたもいるだろう。
写真/hirano takahisa/Nature Production〈amanaimages〉外見上は、どこか別の場所に行こうという気があまりなさそうに見えるが、人の手を借り、ひっそりと外に出ていくことが集団としての持続可能性につながっている。
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