Yohji Yamamoto 2015年春夏コレクションのモデルとして、2014年にパリコレクションのランウェイデビューも果たしている。――ステージも、両サイドを客席が挟む形で、劇場の中央に組まれていましたしね。
「はい。そこもこの作品の見どころのひとつだと思います。席数が多くないので、どの席からでも役者の表情や動きが細かいところまで見えます。しかもキャストは、自分が関わっていないシーンの間もずっと、お客さんから見える場所にいる。当たり前ですけど、その分こちらもより気が抜けないというか、引き締まるような感じです」
――そんな中で栗原さんが演じるのは、大混乱で負けが込んでいくチームに現れる南部出身の投手シェーン・マンギット。どこか陰のある天才的なリリーフという役柄です。
「正直、初演のオーディションに受かった時は、半信半疑でした。皮肉にも僕は運動が全然できなくて、野球は小学生の頃に、地元のスポーツクラブが主催する体験プログラムみたいなものでやったことがありますが、3日で脱走してしまったので(笑)。稽古が始まっても“本当にこの役、僕でいいのかな”と思うことが何度もありましたね」
―― 初演の時は、稽古の前に野球の練習もしたそうですね。
「毎回稽古の30分前に集合して、野球経験がある共演者に軽くピッチングの相手をしてもらいました。それは本当にありがたかったです。演出の藤田さんが、自らヤンキースタジアムに行って撮ってきた写真を見せながら、野球ファンや球場全体の雰囲気について話をしてくれたこともあって、段々と役に近づけたような気がします。今回は新キャストが3人いるんですが、それ以外のメンバーは、藤田さんをはじめスタッフの方も変わっていないので、心強いです」