上から「粉引輪花豆皿」各2160円、「黒三島鉢」1万800円、「白覆輪皿」各3780円。すべて中里太亀作。「伝統の技法を駆使して作るモノトーンの器はどれもモダンです」と「GALERIE AZUR(ギャルリ アジュール)」の店長・坂本さん。“用の美”が魅力の「唐津焼」
「唐津焼」と聞いて、あなたはどんな焼きものを思い浮かべますか? 素朴な土ものというイメージを持っている人が多いでしょうか? それももちろん唐津焼の特徴に違いありませんが、実はその種類は多彩。すっきりとしたデザインのモダンな器もたくさんあります。
東京で唐津焼をメインに扱う陶磁器店「GALERIE AZUR(ギャルリ アジュール)」の店長・坂本 大さんに、唐津焼の歴史と今、おすすめの器を教えてもらいました。
坂本さんが愛用している桃山時代の唐津焼の器。「お皿になるはずが、失敗して曲がってしまったものです。文字か絵かわからないものが描かれているのが唐津らしい」。──唐津焼とは、いつどのようにして生まれた焼きものですか?
諸説ありますが、安土・桃山時代、佐賀県・唐津の岸岳(きしだけ)という地で、朝鮮半島から渡ってきた陶工が始めたとされています。
伸びやかな筆致で描かれた文様などが当時のお茶人に好まれ、茶道具の注文を受けるようになり、やがて「一楽二萩三唐津」といって、京都の楽焼、山口の萩焼についで優れた茶陶と評価されるようになりました。
並行的に湯飲みや皿など日常の器も作られていましたが、その頃の唐津焼といえば茶陶。現在、古唐津(こからつ)と呼ばれているのは、だいたい安土・桃山時代から江戸時代前期までに作られた唐津焼を指します。
「日米半々の生活を続ける花子さんは自由な作風が魅力」と坂本さん。左から「ワインカップ」2700円、「レモンカップ」3240円、「面取りカップ」3780円、「背中カップ」3240円。すべて中里花子作。