身体のゆるみと心のゆるみは繋がっている
色々な方のお話を伺っていると43~44歳くらいを境に「おしゃれの我慢」ができなくなる人が多い気がします。
ハイヒールを履かなくなった、締めつけるラインの服を着なくなった、ブラジャーをカップつき肌着に替えた……どう、思い当たることありませんか?
ちょうど身体のラインが緩んでくるのと同じ頃に、心までたるんでくる。「身体のゆるみ=心のゆるみ」なんですよね。
自分に関心をもたくなくなると、当然、服にも関心がなくなります。鏡を直視しなくなり、我慢をしなくなり……そうなると、不思議なことに、生活までだらしなくなります。
服に迷っている=心が迷っている
「着ているものは、その人の人生そのもの」というのが私の持論ですが、人生に迷っていると、その迷える心が確実に服装にも出ます。“私ってどんな女性になりたいんだっけ?”、“これでよかったんだっけ?”―― 心と連動するように、服もなんだか「チグハグ」になるんです。
だからこそ、「自分」を意識することってすごく大事。服を買うより先に、まずは鏡を見て姿勢を正してほしい。頑張ろうっていう気持ちで、すっと背筋を伸ばしてみましょう。
これだけでも、世界が変わりますよ。
迷い世代のおしゃれルール:
40代は人生でも一番忙しい時期。だからこそ自分のことに関心を持って!コンプレックスは「あなたに似合うもの」を教えてくれる
鏡を見たら、嫌なところばかりが目につくのは、私も同じ。私は、こけしのような「なで肩」がコンプレックスでした。
でもあるとき、人から「なで肩、可愛いじゃない。うらやましいくらいよ。」といわれたことをきっかけに、嫌いななで肩を好きになる努力をしました。
「なで肩の良さって何だろう、私の肩はどうしたら素敵に見えるんだろう」――。なで肩中心にお洒落を組み立てていったら、不思議なことに「私に似合うもの」がわかるようになり、お洒落の幅がぐんと広がったのです。
一か所でいいから好きなところを持つ
若かった頃の自分が続いていると思い込むのではなく、今の自分をきちんと見て、「自分の好きなところ」を1か所でいいから探してみて。大丈夫、自己満足でいいんです! 自分で自分を褒めてあげて、その「好きなところ」を強みにしたおしゃれを考えていきましょう。
迷い世代の女性は、人生で一番忙しい時。私も季節がわからないくらい働いて、働いて……そんな時期があったから、今が楽しめていると思っています。おしゃれを意識する暇がないくらい大変だからこそ、ここで「どこかに置き去りにした自分」を見直しておくとあとで必ず役に立ちます。
今の自分の気持ちがいいスタイルって何だろう? 今までこだわってきたものを一度リセットしてみない? そんな気持ちで鏡と向き合えたら、もっともっと美しくなれると思います。
迷い世代のおしゃれルール:
今までこだわってきたものに捉われず「今のあなたに似合うもの」を着て!次回は、迷い世代が知っておきたい、Vネック・Uネック服の選び方をお届けします。更新は5月14日予定。お楽しみに。
おおさわ千春/Chiharu Osawa
スタイリスト
雑誌のほか、映画の衣装デザインや女優のスタイリングなどを幅広く手がける。着る人に合わせた的確なスタイリングやアドバイスは、多くの女優から信頼を得ている。
イラスト/大橋美由紀 編集協力/湯澤実和子