〔特集〕新時代の王室を祝い、活気ある街を旅する 新しい英国 2023年5月6日、エリザベス女王のとき以来70年ぶりに戴冠式が行われました。新国王チャールズ3世誕生に沸くイギリスで、王室ゆかりの場所と、ロンドンから少し足を延ばして訪れたいマナーハウスへご案内します。
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ロンドン近郊の話題のホテル&豪華列車の旅
日本からの長旅の後は、賑やかなロンドン市内を巡る前に、まずは、自然豊かなホテルで滞在し、豪華列車に乗って、ゆったりとくつろいでみてはいかがでしょうか。古きを守りながら、新しきを取り入れ、好奇心を刺激する施設やサービス。未来の豊かな暮らしのヒントが発見できるかもしれません。
新旧の知恵を生かした、豊かな暮らしを提案する体験型ホテル「ザ・ニュート イン サマセット(The Newt in Somerset)」
緑豊かなイングランド南西部・サマセット州は、「夏の場所」の意味を持つ温暖な地域。かつて古代ローマ人が暮らした、自然と気候に恵まれた風光明媚なりんごの名産地です。そのサマセットにオープンした最新のガーデンホテル、「ザ・ニュート」。1000エーカー(東京ドーム87個分)を有する敷地は、自然と共存するための叡智が詰まった理想郷です。
歴史が育む緑の大地で、真の豊かさに気づく新しい旅ロンドンから電車で2時間半、英国南西部に位置する「ザ・ニュート インサマセット」は、自然豊かなガーデンホテル。サマセットの地域性を生かし、徹底したサステナビリティを理念として、2018年にオープンしました。「ニュート(イモリ)」という不思議な名前は、建設中に新種のイモリが発見され工事が中断してしまったため、「いっそ、ニュートと名づけよう」となったことから。その広大な土地には、テーマ別に植栽された10以上の庭、羊や稀少なブリティッシュ・ホワイト種の牛が草を食む牧草地が広がります。
客室はわずか40室ながら、本館の「ボタニカル・ルーム」、離れの「ファームヤード・レストラン」、ガーデンを一望できる「ガーデン・カフェ」の3つのレストランを有し、そこで供される野菜や果物、ハーブのほとんどを敷地内で栽培しています。
また、りんご栽培が盛んな地の利を生かし、果樹園のりんごで造った果実酒のサイダー(シードル)も格別。養蜂も行い、はちみつを製造しています。食肉や乳製品はすべて地元産。サマセットという土地の恵みを味わい尽くすことで、地球の生態系の一部となり、“自然との触れ合い”を超えて“共存”へと導かれる仕掛けが用意されています。
左・自家菜園で採れたズッキーニとフェンネルを使ったガーデン・カフェの前菜(9ポンド)。豆乳とサフランのヴィーガン・アリオリソースが優しい味わい。右・メインコースで一番人気のカリフラワーのスパイス・ロースト(16ポンド)。野沢菜漬け風の発酵させた葉物野菜とアーモンド・ヨーグルトを添えて。ガーデン・カフェのメニューは野菜料理がメインで、肉料理はサイドメニューという逆転の発想。ザ・ニュートの環境と理念が生んだ食の未来形だ。
円形ガーデン(パラボラ)には、約300種のりんごの木が植えられている。春には白い花が、秋には赤く実ったりんごが鮮やかに彩る。
ヘリテージマネジャーの石田麻衣子さん。ガーデンを使った遺構の保存に興味を持ち、バース大学で園芸学を学ぶ。ガーデン全体を統括し、ザ・ニュートの植物を知り尽くす。
列車で訪ねるロンドンからの日帰りツアー「グレイト・ガーデン・エスケープ」
パディントン駅から出発するファーストクラスでの日帰りツアー。
行きはザ・ニュートの料理長が用意した、地元の食材を使った朝食を、帰りはアフタヌーンティーを車内でいただく。庭や森を散策し、「ガーデン・カフェ」でのランチ、アップルサイダー造りの見学ツアーやテイスティングなどが体験できる。
2023年は毎週金曜・土曜に、9月23日まで運行。大人335ポンド、子ども260ポンド。チケットは
thenewtinsomerset.com/great-garden-escapeより購入できる。
香りの良い植栽を施したフレグランス・ガーデンからヴィクリア調と原生の森を望む。
「赤」のガーデン。そのほか、白、青、緑をテーマにしたカラーガーデンがあり、それぞれの色調を強調した植栽が見事。
※次回に続く
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