樹齢の長い木の根元を彩るクリスマスローズ。このナチュラルな景色が心を和ませ、ゆったりと春を楽しむ気持ちにさせてくれる。写真/横田秀樹斜面を埋めるクリスマスローズは名育種家のコレクション
ドリプレ・ローズガーデンのメインゲートを入ってすぐ右手に、カフェとショップのある可愛らしい洋館があります。そこから園路に下る斜面には、一面クリスマスローズが植えられ、ちょうど今が満開の見頃となっています。
じつはこの斜面には樹齢の長い大きなエノキが植わっており、初夏から秋口までは密に茂った葉で日陰になってしまうのです。
斜面を美しく彩りたいと、いろいろな花を植えてみたものの、日陰のせいでいずれもうまく育たなかったそうです。
そんなとき、園芸愛好家のお客様に「クリスマスローズなら、初夏以降は日陰になる環境に適しているのではないか」とアドバイスされ、クリスマスローズの苗を取り扱う専門のナーセリーを紹介してもらったそうです。
花びらの縁に異なる色が入ることをピコティ(覆輪)という。これはダブル(八重咲き)のピコティ。花びらの先がすっと尖るのが個性的で美しい。写真/横田秀樹ファンの憧れ育種家によるクリスマスローズ
そのナーセリーというのが、東京・足立区にある「WAKAIZUMI FARM」です。
クリスマスローズファンの憧れ、育種家の若泉克志さんのナーセリーです。若泉さんが独自に育種したクリスマスローズは、どれも優雅な美しさをもち、しかも個性的で、誰をも魅了する品種ばかりです。
その若泉さん育種の苗から選りすぐりの300株が、ドリプレ・ローズガーデンの斜面に植えられたのが6年ほど前のこと。いまでは大株に成長し、斜面を埋め尽くすようにたくさんの花が咲くほどになりました。
まずは春のやわらかな日差しが注ぐ、クリスマスローズの美しい斜面全体を景色として存分にお楽しみください。
次に、ひと株ひと株に注目してみてください。若泉さんの魔法の手から生まれた品種、その1種ごとの美しさが心を捉えてその場から離れられなくなるはずです。
黒に近い濃い紫のダブル品種。シックでモダンな雰囲気は、花壇に加えると効果的なアクセントになる。写真/横田秀樹