〔今月のミュージカル・演劇〕
ロックの素晴らしさを伝える
僕が演じる“なりすまし教師”のデューイは大柄でよく食べてよくお酒を飲むという破天荒なキャラクターで、映画ではジャック・ブラックが演じていました。
僕のイメージとはかけ離れていますが、役者だからこそ自分のキャラクターを決めつけずにいろんな形にアレンジするべきだと思っています。必ずしもオリジナルの色に染まることが正解ではないので、僕なりに何かを表現できればと思っています。
今回はダブルキャストで西川貴教さんが同じデューイを演じられますが、これほどまでにダブルキャストでスタート地点に格差があると感じたのは初めてかもしれません。
西川さんはJロックにおける大スターであって、ご自身でライブもなさっているので、そのままやられても成立します(笑)。
僕はロックライブの経験なんて全くないですからね。だから楽器の弾き方、客席のあおり方や盛り上げ方をいろいろと西川さんから学ばせていただこうと思います。
名門校の生徒たち役には今までにないほどの大人数の出演者がいて一人一人の個性があって面白いです。日本のトップレベルの才能が集まりました。
今は演出の鴻上尚史さんが、機械的ではない感情の伴った動きをすることや客席からの見え方など、舞台で演じる上で大切なことを指導されています。
『スクールオブロック』は『オペラ座の怪人』や『キャッツ』などの名作を手がけてきたアンドリュー・ロイド=ウェバーのミュージカル作品です。
これまでの作品とも少し毛色が違っていて、メロディーや曲調が、ジミ・ヘンドリックスやレッド・ツェッペリンなどの楽曲からインスパイアされたのではないかと思っています。
僕たちの舞台での演奏で、ロックって楽しい、音楽って素敵だということをまっすぐに感じていただけたらと思います。
柿澤勇人1987年神奈川県出身。2007年に劇団四季の養成所に入所し、同年にデビュー。2009年末の退団後は舞台、映像と幅広いジャンルで活躍。主な出演作に舞台『スリル・ミー』『海辺のカフカ』『デスノートThe Musical』『メリー・ポピンズ』『ジキル&ハイド』など多数。2022年NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では源 実朝を演じ注目を浴びた。また2024年1月より上演する舞台『Odessa』への出演も控える。
ミュージカル『スクールオブロック』
2003年公開の同名の映画がヒットし、15年にアンドリュー・ロイド=ウェバーのプロデュース、作曲でブロードウェイにてミュージカル化された。売れないロッカーが名門進学校の臨時教員になりすまして学生たちにバンドを組ませるロックコメディ。
出演は西川貴教/柿澤勇人、濱田めぐみ、梶 裕貴/太田基裕、はいだしょうこ/宮澤佐江ほか。
東京建物Brillia HALL~2023年9月18日
S席1万3500円(平日)、1万4500円(土日祝日)ほか
ホリプロチケットセンター:03(3490)4949
URL:
https://horipro-stage.jp/stage/sor2023/※大阪公演あり
表示価格はすべて税込みです。
構成・文/山下シオン
『家庭画報』2023年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。