――今回、荒川さんは村元さんにソロプログラムの振付をオファーされたそうですね?荒川さん:そうなんです。本当は新しく作る予定はなかったのですが、織田信成くんが「この曲、荒川さんに合うと思うんだけど」といって提案してくれた曲があって。
映画『竜とそばかすの姫』の「歌よ」なのですが。全体の構成を組み立てていく中で、やはり個人のナンバーを新しく作るということになり、この曲の振り付けを哉中ちゃんにお願いしました。
私が日本語の曲で滑るのは珍しいのですが、私自身、内容をキャッチしやすかったですし、お客さまも感情を共有しやすいのでは?と感じています。
荒川さんが『竜とそばかすの姫』の曲を練習するそばで、「歌よ〜♪」と口ずさみながら滑るキュートなお子さんは、荒川さんの息子さん。撮影/本誌・坂本正行
日本でも人気急上昇中のチャ・ジュンファン選手(韓国)も、荒川さんからの依頼を受けてフレンズファミリーに合流!写真提供/USM
――荒川さんにとって、「フレンズ・オン・アイス」はどういう存在ですか?荒川さん:2006年当初は、元々こんなに長く続くとは思わず始めたのですが、10年くらいしたときに「せっかくこんなに続くショーにしていただいたのであれば、これからも大事に紡いでいきたい」と思うようになりました。
普段、個々で滑っているスケーターたちが集結したときに、そのキャラクターを生かして素敵な時間を作りたい。誰がメインというわけではなく、全員が主役。その時々に輝いているスケーターたちの姿をスケートファンの皆さんに楽しんでいただけないかなと、いつも考えています。
以前のナンバーを滑るとしても、今のスケーターとして一番輝く演出、今をお届けすることを心がけています。懐かしさと新しさを融合して、スケーター同士、お互いに何かしら刺激が与えられるような存在のショーでありたいです。
今回、チャ・ジュンファン選手、三原舞依選手といったフレッシュな顔ぶれも参加してくれることになり、幅広いスケーター層ではありますが、日本一年齢層の高いアイスショーだといえるかもしれません笑。30代、40代がこんなに出るアイスショーはそうそうないですよね?
でも、30代、40代であっても、研ぎ澄まして自分を高め続けているスケーターが来てくれるというのは、次の世代にもすごく刺激になるはずです。スケーターとしてこんなふうに生きていきたいなと思ってもらえる、一つの道標となる機会にもなるといいなと。若手のスケーターの皆さんが、自分たちにはまだまだ伸ばせるところがあるんだなと思ってもらえたら、うれしいですよね。
観客の皆さんには、懐かしさと新鮮さを感じていただきながら、スケーターたちのアツい演技を、涼しい会場で満喫していただければと思います。
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小松庸子/Yoko Komatsuフリー編集者・ライター。世界文化社在籍時は「家庭画報」読み物&特別テーマ班副編集長としてフィギュアスケート特集などを担当。フリー転身後もフィギュアスケートや将棋、俳優、体操などのジャンルで、人物アプローチの特集を企画、取材している。
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