連載「迷い世代の服選び」 スタイリストのおおさわ千春さんが、「何を着たらいいのかわからない」と悩みがちな“迷い世代”の大人に向けて、おすすめのファッションアイテムを紹介する連載。今回は、おおさわさんが「かわいい!」と絶賛するプラダの新作をフィーチャー。ウエディングの要素を日常着に取り入れた、斬新で愛らしいコレクションをいち早くご紹介します。
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「ウエディング」をデイリーウェアにアレンジした、プラダに注目
今季、私にとって最も印象に残ったブランドが、プラダです。展示会で目に飛び込んできた、純白のレースのパニエ入りスカートに、シンプルなセーターを合わせたルックにひと目惚れ! シューズには、ボウやブーケのようなフラワーのコサージュがあしらわれていて、「なんてかわいいの」と目が釘づけになりました。
「TAKING CARE」をテーマにしたコレクションは、愛の象徴であるウエディングドレスを日常着にアレンジ。花は愛情の証であると同時にファッションの手仕事を連想させるもので、「心づかい」の表れとして、洋服やシューズなど多くのアイテムを彩っています。
人生で最も幸せな瞬間に纏う、ウエディングドレスのエッセンスを取り入れた服。そしてそれをデイリーに着るという発想が、とても素敵で新しいですよね。今シーズンのコンセプトに共感し、「ハッピーなかわいらしさ」を表現したプラダの服を着てみたいなと思ったのです。
ウエディングドレスを日常に着る今季のキールック
ニット22万円 スカート126万5000円 バッグ(縦11×横17.5×マチ5cm)49万5000円 ホワイトフラワーシューズ(ヒール1.5cm)15万7300円/すべてプラダ(プラダ クライアントサービス)※すべて予定価格
私がひと目で恋に落ちた、今回のコレクションを代表するルックがこちら。実は私、ウエディングドレスをデザインした経験があるので、このスカート──ふわりと広がるシルエット、贅沢なレース使い、取り外し可能なパニエなど──の完成度の高さが身をもってわかるのです。
これにあえて粗い質感のシンプルな黒いセーターを合わせ、ノーアクセサリーでミニマルに着こなすという提案は、プラダならではだと思います。最高級レースを惜しみなく使った純白のスカートをデイリーに着るっていうのも新鮮ですよね。こういうプラダの「かわいさ」って、大人の女性だからこそ似合うものだと思います。
クラシックモダンなトライアングルフォルムのバッグ
〈奥〉バッグ(縦20×横25.5×マチ5cm)81万4000円 〈手前〉ミニバッグ黒・グレー(各縦11×横17.5×マチ5cm)各49万5000円(グレーは参考色)/すべてプラダ(プラダ クライアントサービス)※すべて予定価格
プラダを象徴するトライアングルをアレンジした新作バッグ。バッグに使われている光沢のあるガラス加工のレザーは、カジュアルにも特別なお出かけの際にも使いやすく、とても便利です。金具がゴールドなのも、ラグジュアリーなアクセントになっていると思います。奥のがま口タイプは、クラシックモダンなデザインで、バックルがあしらわれたストラップもお洒落。手前のショルダーは、脇に収まる程よいサイズ感で、取り外し可能なロングストラップ付きです。
ボウやフラワーをモードにアレンジ。モダンなデザインが光るシューズ
〈上から〉ホワイトフラワーシューズ(ヒール1.5cm)15万7300円 イエローサンダル(ヒール2.5cm)15万7300円 ブラックパンプス(ヒール4.5cm)19万8000円/すべてプラダ(プラダ クライアントサービス)※すべて予定価格
ウエディングに欠かせないフラワーやボウがあしらわれたシューズ。ボウはふわりとした丸みのあるリボンの形でなく、立体的で鋭角なデザインにアレンジされているのがモダンな印象です。
こちらもバッグ同様ガラス加工のレザーで、華やかな光沢感があるのが大人っぽい。ハイヒールにせず、あえてローヒールなところが、モードなバランスを作るキモになっています。私は、ブラックのシューズを手に入れたいなと思案中です。
私にとって、プラダは30代前半の「スタイルの転換期」に、お洒落を進化させる足がかりになってくれたブランド。ハイヒールにスーツという定番的な装いを脱し、「コンサバではなくモダンで格好よく見られたい」と思い始めた当時の私にとって、ミニマルなスタイルを提案するプラダは衝撃的で、「私が目指したいのはこれだ!」と、飛びついたのを覚えています。
その後、年齢に応じて夢中になるブランドは変化していきましたが、ここに来てもう一度「プラダを着てみたいな」と思うようになったのです。プラダの軸になっている「変わらない世界観」が今の自分にとって新鮮で、また戻ってきたのだと思います。
若い頃には気がつかなかったプラダの「深み」――今季の洋服が表現している「心づかいの美しさ、愛の美しさ、現実の美しさ」を、愛しいと思える年齢になったことがうれしいのです。好きなものは回っていくものだなとしみじみと感じながら、今の私に似合うプラダを探したいと思います。
●お問い合わせ
プラダ クライアントサービス
フリーダイヤル 0120-45-1913
おおさわ千春/Chiharu Osawa
スタイリスト。雑誌のほか、映画の衣装デザインや女優のスタイリングなどを幅広く手掛ける。着る人に合わせた的確なスタイリングやアドバイスは、多くの女優からも信頼を得ている。「迷い世代の服選び」記事一覧>>