5年前の2018年、松島さんはごろりんちゃんと出会いました。「東京都動物愛護相談センター」に負傷猫として収容され、保護主さん(@teko1010)のお宅で治療を行いながら里親を探していた茶トラの男の子です。
「8歳の頃、友人の家で産まれた猫の兄妹をもらい受けてからずっと猫と暮らしてきました」と松島さん。「兄の竹ちゃんは10歳のとき腎不全で亡くなり、梅ちゃんとは20年間を共にして。その梅ちゃんが亡くなって半年たった頃、ごろりんの写真を見たときに、すごく私の心に訴えかけるものがあったんです。自分の仕事のことを保護主さんにお話しして、ウチに迎えたいと相談しました」
「預かっている猫さんの中で、仲の良い子がいたら一緒に迎えたいと言ったら、当時生後2か月だったゴメズとフェスターを紹介されました。民家の屋根裏で産まれ、害虫駆除業者に山に捨てられそうになっていたところを、ボランティアの方に助けられた黒猫の兄弟。引き離すのはかわいそうで、思い切って3匹を引き受けることにしました」
お迎え当時、ごろりんちゃんは推定6歳、ゴメズちゃんとフェスターちゃんは生後2か月。一気に松島さんの家が賑やかになりました。3匹はとても気が合いますが、性格はそれぞれに違います。
「ごろごろ甘え上手で、保護主さんから“ごろりん”と呼ばれていたのをそのまま名前にしました。運動能力が高く、あわてん坊でおっちょこちょい、食いしん坊なところは私に似ているかな(笑)。ゴメズは3匹の中で一番繊細な気遣いのできる子。ごろりんが大好きで、いつも一緒にいます。フェスターは頭が良くて好奇心旺盛。そのくせビビりで、物音に敏感で、写真も苦手。いつも変顔に写っちゃうんです」
父のように母のように、2匹の子猫を可愛がり育て上げたごろりんちゃんに、ある日、異変が起こります。3匹と暮らし始めて1年と少しがたった頃でした。診断は肝性脳症。肝臓の機能不全で全身にアンモニアがまわってしまったのです。
「竹が腎不全になったとき、1秒でもその命を引き留めたくて、いろいろな治療をしてしまったんですね。人間のエゴでかわいそうなことをしたかもしれないと後悔した気持ちが、ごろりんの病気を前にフラッシュバックして、すごく悩みました。苦しかったです。お医者さまともよく話して、まだごろりんは若いし、諦める前にこの治療だけはしてみましょうということを決めて……。結果、命は助かりましたが、目が見えなくなってしまいました」
脳症と失明によって、大好きだったジャンプはもうできなくなってしまいました。
「その姿を見るのが今もつらい。過酷な外の世界で生きてきて、これから幸せにしてあげようと思った矢先だったのに……。でもゴメズとフェスターは変わることなく、いつもごろりんに寄り添ってくれるんです。その姿に、人間とか動物とかを超えた、深い愛情を感じます」
「命をお金で買うのではなく、頑張って生きてきた保護犬や保護猫を家族に迎えるという選択もあること、そしてどんな子にも個性や魅力があり、寄り添って愛してあげれば、心がつながっていくということを情報発信して、全国のボランティアさんの活動を少しでもお手伝いできればと願っています」。
1匹でも多くの犬猫が、幸せをつかむことができますように……松島さんはそう語ってくれました。
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