今、大注目！福島県のブランドカスミソウ「昭和かすみ草」のブーケ&アレンジメント10選

藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい！ 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。記事一覧はこちら＞＞

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9月の花「カスミソウ」

GI（地理的表示）保護制度登録の書類のために制作した「昭和かすみ草」だけのシンプルなブーケ。ウエディングブーケをイメージして制作しました。昔のカスミソウに比べると花が大きく密についているので、純白のブーケがつくりやすくなりました。ウエディングでも「カスミソウだけで…」というリクエストをよくいただきます。

うれしいニュース！「昭和かすみ草」が国のお墨付きをもらいました

昔から切り花の定番として変わらぬ人気のカスミソウ。そのカスミソウにグッドニュースが届きました。カスミソウは産地を変えて一年中出回りますが、春から秋にかけていちばん出荷量が多いのが福島県の会津地方にある昭和村付近です。

それをとりまとめる「JA会津よつば」から出荷されるカスミソウが「昭和かすみ草」として、国の「地理的表示（GI）保護制度」に登録されました。地理的表示はGIと略されますが、現在までにGI登録された品目は133産品。この7月に134品目として登録されたのが「昭和かすみ草」です。

GI保護制度とは、地域の風土に根付き、独自の環境や伝統的な製法でつくられる、唯一無二の個性をもつ農産物や加工品を、国の知的財産としてきちんと保護する目的で制定されました。「夕張メロン」、「山形ラ・フランス」、秋田の「いぶりがっこ」などのほか「近江牛」や「神戸ビーフ」、「三輪素麺」、「紀州金山寺味噌」など多くの品目があるなか、切り花では2021年に登録された鹿児島県の「えらぶゆり」に続く2品目で、価値ある登録といえます。

「JA会津よつば」でも長くカスミソウ栽培に携わる達人・鈴木茂三郎さん生産の「昭和かすみ草」。これは密集咲きタイプの‘ティアラ’という品種で、このふんわりしたボリューム感がたまらない魅力です。「昭和かすみ草」の生産地は積雪量が多く、その雪の冷気を利用した貯蔵施設があり、出荷する前に予冷をすることで鮮度が保たれるよう工夫しています。

ごく小さな白い花だった以前のカスミソウから品種改良が重ねられ、現在のカスミソウは花がぐっと大きくなって白さが際立ち、花と花の節間が短くなって密度高く、ふんわりしたボリューム感が楽しめるようになっています。

昭和村ではそんなカスミソウを数品種生産していますが、なかでも私が気に入っているのが‘ティアラ’と‘アルタイル’の2品種で、春から秋までお店ではいつも昭和村のカスミソウをキープしています。

今度からは呼び名もGI登録名の「昭和かすみ草」に変え、お客さまに「国のお墨付きなんですよ」と自慢しようと思っています。光栄にもこのGI登録の書類に添付するブーケの制作、写真撮影を担当させていただき、この登録が我が事のようにうれしくてたまりません。 

さて、このGIは国内だけでなく、世界100か国を超える国と地域で保護されています。これから「昭和かすみ草」というブランドとして、世界にその魅力を発進しやすくなるわけで、近い将来、世界中で「昭和かすみ草」のすばらしさが認知される日が来るかもしれないと思うとワクワクしてきます。

JA会津よつばの花農家さんたちもきっとGI登録されたことで、より一層高い品質を維持できるよう努力されると思います。その結果、私たち花屋、そしてお客さまがよりクオリティの高いカスミソウを手にすることができるのですから、花好きな皆さまにとってもグッドニュースではないでしょうか。

カスミソウはどの季節の花と合わせてもかわいらしいのですが、ここではこの時期に入手できる花と合わせた「昭和かすみ草」のアレンジやブーケに限定してご紹介します。

「昭和かすみ草」を使った秋のブーケ&アレンジメント

「昭和かすみ草」とリンドウ‘ホワイトベル2号’。大小の白花を背景に鮮やかなピンクのクレマチス‘天使の首飾り’を散らしたアレンジ。白のボリュームが多く、華やかながら涼しげな印象になりました。 たっぷりの「昭和かすみ草」の中にシックなピンクのユーパトリウムを入れたブーケ。白とピンクの組み合わせでも大人っぽさがあります。カスミソウの品種は中輪の‘アルタイル’。 「昭和かすみ草」のメイン品種の一つ‘アルタイル’。中輪ですが、以前のカスミソウに比べるとぐっと花が大きく、しかも花が同時に咲く性質なのでボリューム感があるのが特徴です。 お誕生日の贈り花に、白と紫の色合わせで、まだ暑さの残る季節にうれしい清涼感のあるアレンジを。純白のカトレア‘ホワイトブライダル’とメタリックな青紫のルリタマアザミ‘ベッチーズブルー’。そして大きな四つ葉のオキザリス‘ラッキークローバー’。間を埋めるように「昭和かすみ草」の‘ティアラ’を挿しています。ほかにアップルミントやキイチゴ‘ベビーハンズ’、ダスティーミラーなどを使用。 白と緑の爽やかな色合わせのアレンジでも「昭和かすみ草」が大活躍。リシアンサス‘ボヤージュスノー’、マム‘アルバリーノ’と‘フィーリンググリーン’、穂が涼しげなエリムス‘アイシーブルー’、さらにロシアンセージを加え、真ん中に個性的なフォルムのパフィオペディルム‘クレアドルーン’をあしらいました。カスミソウの品種は‘ティアラ’。すき間を真っ白に埋めてくれるので、アレンジ全体がより白い印象になります。 お母さまの還暦祝いに娘さんからの贈り花です。赤、オレンジ、黄色、ブルーと色どりどりの花を集めたブーケですが、花と花の間に「昭和かすみ草」を加えることで、色がぶつかり合わずにまとまり感が出ます。カスミソウの品種は‘ティアラ’です。‘サムライ08’、‘スフィンクスプレゴ’、‘桜吹雪’の3種のバラ、カラー‘キャプテンソロ’、デルフィニウム‘プラチナブルー’、エキナセア‘マーマレード’、キイチゴ‘ベビーハンズ’などを使用。 「昭和かすみ草」の‘ティアラ’を使って、ウエディングブーケ、花冠、ブートニアを制作しました。ブートニアをご覧いただくとカスミソウの花サイズが以前より大きいことがよくわかると思います。‘ティアラ’は花が密集して咲くので、ブーケや花冠も白さが際立ちます。カスミソウは現在でもウエディングシーンで人気のある花です。 こちらも「昭和かすみ草」を使ったウエディングブーケで、白や淡いピンクの花と組み合わせました。花と花のすき間を埋めるだけでなく、小花のカスミソウが加わえることで、花の大小感が出てメリハリのある仕上がりになります。バラは‘グリーンアイス’、‘ブルーミルフィーユホワイト’、‘シェドゥーブル’、‘マロンフォレスト’の4種で、スカビオサ‘パーフェクタアルバ’、蕾ガーベラ‘レドンド’にマウンテンミントやフランボワーズなどフレッシュな葉色をたっぷり加えました。 花色を晒した穂や葉ものとワイルドフラワーに、「昭和かすみ草」の白を加えたクールで個性的なウエディングブーケ。この組み合わせで室内に飾る花にしてもとても素敵で、長く楽しんでいただけます。カスミソウの品種は‘アルタイル’。ワイルドフラワーはプロテア‘ホワイトナイト’とセルリア‘ブラッシングブライド’。ほかにスターチスやワックスフラワーなどを使用。 今回のGI登録では「JA会津よつば」で生産される染めのカスミソウも加えられています。これは白花のカスミソウ同様に登録の書類に添付するために制作したブーケ。花が大きくなったので、花色もよく目立ち、以前よりぐっとインパクトがあります。

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藤野幸信／Yukinobu Fujino
広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「fleurs trémolo」（フルール トレモロ）オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。感動する花束を多くの人に届けたいという思いから、市場からだけでなく自ら生産者情報を入手してお気に入りの花を集める。何種類もの花を使ったブーケは、エレガントでナチュラル。著書『大切な人への贈り花』も好評。 https://www.fleurs-tremolo.com

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