健康的に美しくやせる! 12の新・生活習慣 第9回……「見た目は太っていないのに健診で「肥満」を指摘された」
〔ダイエットのお悩み〕見た目は太っていないのに 健診で「肥満」を指摘された
それは「かくれ肥満」という状態です。体重ばかり気にしても改善しません。筋肉と脂肪のバランスをこの機会に見直しましょう 大湯リハビリ温泉病院 常務理事 小笠原達記念温泉医学研究所 所長・温泉保養館館長 池田充宏(いけだ・みつひろ)先生 筑波大学大学院にて疾病の運動処方の研究を開始、博士号を取得。45万人以上の健康管理に携わり、そのビッグデータの解析から誰もが無理なく取り組める健康管理法を導き出し、多くの企業や自治体を指導してきた。また、国内外のトップアスリートの能力評価、減量、トレーニング、リハビリにもかかわる。
内臓脂肪と腹囲は相関あり 腹囲の大きい人は要注意
「肥満度を表す指標であるBMIが普通体重あるいは低体重を示すからといって肥満でないとはいいきれません」と池田充宏先生は指摘します。
見た目より中身が大事で、体組成(脂肪・骨・筋肉)のうち脂肪が占める割合(体脂肪率)が高いと肥満とみなされます。女性の場合、普通体重とされるBMI25でも体脂肪率が30パーセントを超えると肥満と判定されます。いわゆる“かくれ肥満”の状態が疑われるのです。
脂肪の種類には「皮下脂肪」と「内臓脂肪」があり、より問題視されるのは内臓のまわりに付着する内臓脂肪です。
「内臓脂肪は糖尿病や脂質異常症を引き起こし、放置すると動脈硬化が進行し、さらには脳梗塞、心筋梗塞といった深刻な病気に至ります」と池田先生は健康面への悪影響について説明します。
内臓脂肪と腹囲は相関しており、特定健診で腹囲が大きいと指摘されたときは要注意です。また、やせていてもおなかまわりがぽっこり出ている体形も内臓脂肪が多い可能性があります。
「見た目だけでなく健診や人間ドックの血液検査の結果とクロスさせることが重要です。BMIは普通体重なのに血液検査の数値が悪いときは内臓脂肪が多い可能性が高いです。反対にBMIは肥満の判定なのに血液検査の数値が正常の場合は、筋肉、骨、内臓などの重さが体重の多くを占め、脂肪そのものは少ないと考えられます。実質的には肥満ではなく過体重といわれるものです」
体組成計で筋肉と脂肪のバランスを確認。体内水分量の変動により数値が変わるので計測時間は一定に。
内臓脂肪はつきやすいけれど落としやすいこともわかっており、最も効果的な方法は運動です。
「とはいえ、エネルギーの塊である脂肪を運動で燃焼させるとなると相当の運動量が必要になり、日常生活でも体を動かす際には運動強度を意識することが肝心です。過去の研究では10メッツ(強度)の運動を週に1時間行うと内臓脂肪が減少することが判明しています。下表を参考に必要な運動量を計算して、自分に合った運動や活動から無理なく取り組んでみましょう」。
●運動強度を意識して動き、内臓脂肪を減らす
長寿科学振興財団「健康長寿ネット/運動強度とエネルギー消費量」を参考に作成
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