クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。
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第5回 J・S・バッハ『ブランデンブルク協奏曲』第2番
イラスト/なめきみほ
今も宇宙空間を飛行する人類の遺産
今日9月5日は、アメリカの惑星探査機「ボイジャー」1号の打ち上げ記念日です。
1977年に相次いで打ち上げられたボイジャー1号&2号に搭載された「ゴールデンレコード」には、地球外の知的生命体に地球の生命や文化を伝えるための音や画像が収められています。その中身は、115枚の画像のほか、自然界の音や動物の鳴き声、55の言語による挨拶、そしてさまざまな時代と地域の音楽などなど。
クラシック音楽からは、J・S・バッハの『ブランデンブルク協奏曲第』第2番を筆頭に、モーツァルト、ベートーヴェン、ストラヴィンスキーの名曲が選ばれています。さまざまな楽器による6曲からなる合奏協奏曲『ブランデンブルク協奏曲』は、1721年にブランデンブルク辺境伯に献呈されたことからその名がついた傑作です。一説によれば、バッハが転職活動のために腕を振るった作品だとか。
未知の知的生命体がこの曲を聴いて何を思うのか興味津々。ボイジャーは今も宇宙空間を飛行中です。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。