クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。
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第12回 ジャン=フィリップ・ラモー『優雅なインドの国々』
イラスト/なめきみほ
フランス・バロックの面白さここにあり
今日9月12日は、フランス・バロックを代表する作曲家ジャン=フィリップ・ラモー(1683~1764)の命日です。
父親がディジョン大聖堂のオルガニストであったラモーは、オルガニストとして活動を始め、作曲家のみならず、音楽理論家としても有名な存在でした。そのラモーが手がけた最初のオペラ=バレが『優雅なインドの国々』です。
「オペラ=バレ」というのは、フランス・バロック時代に人気のあった舞台作品で、オペラにバレエの要素を加えた喜劇的要素の強い作品の総称です。愛をテーマにした4つのオムニバス物語からなる『優雅なインドの国々』が作曲されたのは1735年。作品タイトルのインドは、“どこか遠い国と”いった意味があるようです。
エキゾチックな音楽は今聴いても新鮮そのもの。中でも作品のテーマにして“洋の東西が結びつく重要なシーン”で演奏される「大いなる和平のキセルの踊り〜未開人の踊り」は、ブレイクダンスにも違和感なく使えそうな人気曲です。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。