〔特集〕今秋、感動の体験旅へ 京都・奈良 日本が世界に誇る2大古都、京都と奈良。世界文化遺産にも登録されている、この2つの都市の文化的価値と魅力を、料亭、庭園、建築などに焦点を当てて紐解いていきます。さらに美味処、話題のスポットの情報もお届けします。前回の記事はこちら>>
今年「古都奈良の文化財」が世界遺産に登録されて25周年を迎えます。そもそも「古都奈良の文化財」の価値とはどこにあるのでしょうか。
ユネスコの公式文書では、その登録理由として「奈良の寺院の多くは8世紀の木造建築の芸術的レベルの高さを示すが、その手本となった中国、朝鮮の木造建築は殆ど現存しない」という言い方をしています。
つまり、アジアの優れた仏教建築は、戦禍に巻き込まれてほとんどが失われた中で、極東の小さな島国の「奈良盆地」にそれらはほぼ完璧な形で奇跡的に残されていたといっているのです。世界の歴史から見ればそこが貴重なのだと。ここには一つの国の文化遺産をアジアというより広い視点で評価しようという姿勢が見受けられます。
※次回に続く
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参照資料/『宮司が語る御由緒三十話 春日大社のすべて』(中央公論新社)、『古寺行こう(3東大寺 4興福寺 5薬師寺 10唐招提寺)』(小学館)、『奈良で学ぶ 寺院建築入門』(集英社新書)、『わかる!元興寺』(ナカニシヤ出版)『家庭画報』2023年10月号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。