ジュエリー見聞録 10月 宝石史研究家・山口 遼さんの解説で、素晴らしいジュエリーとその見どころをお届けします。10月は、京都ならではの美意識を感じさせる 「NIWAKA」のブレスレットとリングです。
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シンプルさに潜む複雑さを巧妙に表現
解説/山口 遼(宝石史研究家)
久しぶりに日本のブランドの登場です。京都に本拠を構える「
NIWAKA(ニワカ)」ですが、最近は本格的にハイジュエリーの世界に挑戦しており、多くの作品を発表しています。その中から、いかにも京都らしさが満載のコレクションをご紹介します。
「京小路」と名付けられたこのシリーズは、とてもユニークです。雨が降った後の京都の石畳をデザインしたそうですが、京都に4年間ほど住んだことのある私には、下京あたりの細かい町屋がギッシリと並んだ街を上から見たデザインにも見えます。
正方形の台座を作り、その上にダイヤモンドを自在に並べて、さまざまなパターンをデザインしています。ダイヤモンドを4個並べたもの、9個並べたもの、枠のあるもの、中央にダイヤモンドを1個セットしてまわりを空けたものなどさまざまですが、どれも真四角で同じサイズを順列組み合わせで並べることで、それぞれのパーツが独立した宝石のように見える。これは巧妙です。
すべて白いダイヤモンドだけ、色彩としてはシンプルですが、表情は複雑です。シンプルさに潜む複雑さ、これこそが日本美術の特徴の一つでしょう。京都に住んでみると感じるのですが、一見、古いものだけが目立つ京都には、途方もなくモダンなものが潜んでいる。その京都らしさを生かした、NIWAKAのチャレンジが成功することを祈っています。
京都の石畳をグラフィカルに表現して
正方形のパーツに、大小異なるダイヤモンドのパターンが4つ。モダンで洗練されたデザインにダイヤモンドの輝きがリズミカルに連なり、奥行きのある表情を叶えます。「京小路」ブレスレット(WG×ダイヤモンド)2476万8700円 同リング(WG×ダイヤモンド)171万500円/ともにNIWAKA ●お問い合わせ/NIWAKA 京都本店 TEL:075(213)6787