クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。
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第21回 グスターヴ・ホルスト 組曲『惑星』
イラスト/なめきみほ
1度聴いたら耳について離れない木星のメロディ
今日9月21日は、英国の作曲家グスターヴ・ホルスト(1874~1934)の誕生日です。
ホルストの代表作として圧倒的に有名な作品といえば、管弦楽のための組曲『惑星』でしょう。「地球」を除く7つの惑星(水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星)で構成されるこの作品が、天文学ではなく、占星術の観点から生み出されたことはとても興味深いです。
正式な初演は1920年に行われ、オルガンや女声合唱を駆使した作風が驚きを持って受け入れられたと伝えられます。中でも名高い『木星』中間部のメロディは、本国英国の愛国歌&イングランド国教会の聖歌として親しまれているほか、1991年に行われた「第2回ラグビーワールドカップ」のテーマソング、さらには、2007年の世界陸上大阪大会閉会式でのサラ・ブライトマンの歌唱や、平原綾香が歌って大ヒットを記録した『ジュピター』なども記憶に新しいところ。
一度聴いたら耳について離れないメロディこそが人気の秘訣といえそうです。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。