クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。
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第26回 ジョージ・ガーシュウィン『ラプソディ・イン・ブルー』
イラスト/なめきみほ
ポップスとクラシックの二刀流が成し遂げたアメリカンドリーム
今日9月26日は、20世紀アメリカの作曲家ジョージ・ガーシュウィン(1898~1937)の誕生日です。
ジャズ&ポップスの世界において、『スワニー』や『アイ・ガット・リズム』などのヒット曲を世に送り出して大成功を収め、クラシックの世界においても『パリのアメリカ人』やオペラ『ポーギーとベス』などの名作によって、20世紀アメリカが生んだ最大の作曲家に位置づけられるガーシュウィン。歴史を振り返ってみても、ポップスとクラシックの両ジャンルにおいてこれほどの成功を収めた作曲家は彼のほかに存在しません。しかも、それをわずか38年の短い生涯の中で成し遂げたことに驚かされます。
そのガーシュウィンの名を世に知らしめた名作が、1924年に発表された『ラプソディ・イン・ブルー』です。この歴史に残る“ピアノと管弦楽のための協奏曲的作品”を作曲した当時、ガーシュウィンはまだ管弦楽の知識がなく、ファーディ・グローフェがオーケストレーションを担当したことも語り草です。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。