〔連載〕天野惠子先生のすこやか女性外来 日本の女性医療、性差医療の先駆者で、ご自身の更年期体験も山ほどお持ちの、天野惠子先生の連載「すこやか女性外来」。今回は、天野惠子先生が推薦する全国・女性外来を紹介します。
若松町こころとひふのクリニック メンタルケア科 加茂登志子先生
●前回の記事
抑うつ、不安症、睡眠障害──。メンタルの不調は女性に多いメンタル不調や育児に悩む女性の頼もしい味方
更年期うつ、DV被害母子の子育て支援も
加茂登志子先生(かも・としこ) 精神科医。日本PCIT研修センター代表理事、若松町こころとひふのクリニックPCIT研修センター長。東京女子医科大学卒業。同大学附属女性生涯健康センター所長・教授を経て2017年より現職。2022年まで東京都女性相談センター嘱託医。2008年日本にPCIT(親子相互交流療法)を導入し、日本での第一人者として実践と普及に取り組む。
増え続ける女性のストレス。自衛手段はよく眠ること
30年以上一貫して女性に特化したメンタルヘルスを専門とし、DV被害など社会問題にも積極的にかかわってきた加茂登志子先生。
「人生の選択肢は広がっても女性はこうあるべきとの価値観は旧態依然、女性の負担は増す一方。心が折れそうになっても“私が悪いわけじゃない、社会が遅れているせいよ”くらいに考えてよいのです」。
加茂先生自身が安眠効果を実感しているアイス枕とアロマ。先生の好みの香りはゼラニウムとローズ。
更年期のホルモン変動による心身の不調に、大きな心理・社会的ストレスが加わったとき、よくあるうつ症状がうつ病に悪化しやすいといいます。このとき身体に真っ先に現れるサインが睡眠障害。
「十分に眠ればつらいことがあってもたいていは耐えられますし、自律神経が安定して身体症状も軽減します。冷却効果のあるアイス枕の使用や就寝時のリラックス法など、診療の中でも特に睡眠指導には重点を置いています」。
回復への基本は対人交流。子育て支援に花鳥園も
治療にはホルモン補充療法、抗うつ剤、認知行動療法などを用いますが、よく使うのが漢方薬。
「抗うつ剤より患者さんの抵抗感が少なく、気軽に治療に入れるのも漢方薬の利点。漢方薬で気分を持ち上げ、体調をよくしてから背景にある問題を解決していきます」。
患者の体質や症状に合わせて処方する漢方薬を選ぶ。
患者から贈られた手作りの品々。もの作りは回復への過程であり成果でもある。
15年以上、DV被害母子の育児支援にも有効なPCIT(親子相互交流療法)に力を入れている加茂先生。週に一度の楽しみは自らが代表を務める花と鳥のテーマパーク「富士花鳥園」(静岡県)を訪れること。
「対人交流はメンタルヘルスの基本。誰もがストレスなく触れ合える花や鳥との交流には、精神安定効果があると考えています」。
PCITの第一人者である加茂先生の訳書、著書。
父親から受け継いだ「富士花鳥園」は花や鳥と触れ合える癒やしの公園だ。
若松町こころとひふのクリニック
東京都新宿区若松町9-4 MHビル1階
TEL:03(3356)3796
URL:
https://mesc-japan.com/
*NPO法人性差医療情報ネットワーク「女性外来マップ」では、女性外来を開設している医療機関(2018年現在約300か所)のリストを公開。
URL:
http://www.nahw.or.jp/hospital-info*「女性外来オンライン」(天野惠子先生主宰)では、天野先生ご自身が厳選した女性の健康の回復や維持に役立つ信頼性の高い情報を発信しています。
公式サイト「女性外来オンライン」:
https://joseigairai.online/
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