季節のオノマトペ 11月・落ち葉「がさっ」
選・文=山口仲美(日本語学者)落ち葉を楽しむ季節です。紅葉も美しいけれど、散り敷いた落ち葉を手ですくったり踏みしめたりする快感もなかなか。
写真/natsu〈PIXTA〉
乾いた落ち葉を手で優しくすくうと「かさっ」と音がする。重みのある落ち葉を一気にすくうと「がさっ」と音がする。「か」を使うか「が」を使うかで、意味が微妙に異なることが分かりますね。
「か」は、「清音」の仲間ですから、文字通り澄んで軽やかでやさしいイメージを作ります。「が」は、「濁音」の一つですから、その名の通り濁って重くがさつなイメージを作ります。
写真/イメージマート
でも、濁音のオノマトペ「がさっ」を、この上なく効果的に使うこともできます。「たとへば君 ガサッと落葉 すくふやうに 私をさらって 行ってはくれぬか」。河野裕子さんの短歌。
「がさっ」が効いていますね。煮え切らない恋人に、「がさっと」一気に私をさらってよと訴えかけています。よく分かる、その気持ち!
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