11月・ノコンギク
冬ざれの野を潤す凜と小さな命の息吹
選・文=小林浩幸(雑草生態学者)秋が深まると、郊外で見られる花は野菊ばかりだ。野菊は種類が多く、夏から咲いているものもあるが、いろいろな花が次々と咲き乱れる季節には存在感があまりない。
けれど、他の多くの花々が姿を消していった後の晩秋、初冬には野菊がひときわ目立つ。なかでも、日本にだけ分布する固有種と考えられているノコンギクは野菊を代表する花で個体数も多く、国内ならだいたいどこでも普通に見られる。
写真/PSPS〈PIXTA〉
豪華な栽培品のもとになった野菊とは違うグループに属し、控えめな野の草花、という印象がより強い。それでも、冬が近づいて色あせはじめた野で、なおも凜として咲き続ける姿にははっとさせられることがある。
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