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スポーツの日にこんな音楽はいかが? 風変わりな作曲家エリック・サティの『スポーツと気晴らし』

2023.10.09

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クラシック音楽を楽しく学べるトリビアを毎日お届け。

クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。連載一覧はこちら>>

第39回 エリック・サティ『スポーツと気晴らし』

イラスト/なめきみほ

イラスト/なめきみほ

極貧の中に輝く“モンマルトルのピアノ弾き”に涙する

今日10月9日は、2023年のスポーツの日です。スポーツとクラシックの関係は、入場行進曲を筆頭に、応援歌やオリンピックのファンファーレなどなど、さまざまな接点が見いだせます。その中において極めて個性的な作品が、フランスの作曲家エリック・サティ(1866~1925)の『スポーツと気晴らし』でしょう。

サティほど風変わりな作曲家は他に類を見ません。西洋音楽の伝統に背を向けて、ユーモアとアイロニーの世界に基づくシンプル極まりない音楽を書き続け、極貧生活の中においても終生自分の主義を貫き通した人物サティ。その彼が手がけた『スポーツと気晴らし』の成り立ちも一風変わっています。

パリの婦人向け高級誌ルシアン・ヴォージュルに掲載された人気画家シャルル・マルタンの描く風俗画集に、1曲ずつ短いピアノ曲を添えるという企画において、当初ストラヴィンスキーに依頼したところ、ギャラの折り合いがつかず。しかたなくサティに依頼すると、サティはギャラが不当に高すぎると拒絶したというのです。値下げしてようやく話がまとまったというこの作品は、まさにサティそのもののような存在です。




田中 泰/Yasushi Tanaka

一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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