〔特集〕源泉のある最新オーベルジュへ(後編) 心身を癒やす良泉と、滋味深く華やかな食、そして居心地のよい空間。大分・由布院と山形・赤湯、それぞれの土地に魅了された人たちの熱い思いがオーベルジュとなって実を結びました。2023年オープンの2軒へご案内します。
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OSTERIA SINCERITÀ/オステリア シンチェリータ
(山形・赤湯温泉)
広さ150平方メートルの「ALBA」のリビングルームには、福王寺法林による屛風絵「早暁 霊山」が置かれている。ウェルカムドリンクやフルーツをいただきながら、客室でチェックイン。
“生まれたての十割源泉”が楽しめる3室のみのオーベルジュ
温泉と食が自慢の宿は星の数ほどありますが、2023年4月にオープンした「オステリア シンチェリータ」には繰り返し訪れたくなる魅力が満載です。
エントランスに待機するランドローバーDEFENDER(ディフェンダー)は、予約すれば赤湯駅までの送迎や滞在中のオフロード体験にも利用できる。
アクセスは東京駅から山形新幹線で乗り換えなし、チェックインまで約2時間半。「山形のショーケース」になることを標榜して2017年にリニューアルした「山形座瀧波」に隣接する、1日3組だけのオーベルジュです。
ディナーを堪能した後は、以前使っていた大きな露天の岩風呂を生かした、レストランの目の前のパティオへ。ファイヤーピットを囲めば、食後の語らいの場に。
客室は全室135平方メートル以上、2階に源泉かけ流しの檜風呂が付いた、2ベッドルームの贅沢なメゾネットタイプ。その一つ「ALBA」には本格的なドライサウナまでついています。
「ALBA」の2階にある書斎のようなカウンター。お風呂上がりに冷たいドリンクを飲んだり、ライブラリーの本を片手にくつろいだり。
リビングルームに、米沢市出身の日本画家、福王寺法林の大きな屛風絵が飾られ、米沢市の「林木工芸」の照明、「天童木工」の家具、朝日町で製造されているという、デンマークのデザイナー、フィン・ユールが設計した椅子やソファが置かれ、居ながらにして山形を感じることができます。
泉質は含硫黄塩化物泉。温泉成分が皮膚の表面を覆い、湯上がり後も体の芯からぽかぽかに。小さな湯の花が漂う湯は肌に優しい。
何よりの贅沢は、檜の湯船がこんこんと湧き続ける源泉によって、いつ行っても満たされていること。加温・加水せずに温度調整をするために専任の湯守を置いて、すべての客室に自慢の“十割源泉”を届けています。無色透明ながら、ほんのりと漂う硫黄の香りが心地よく、何度でも浸かりたくなります。