多職種による緩和ケアチームが病棟を中心に患者家族を支援
「緩和ケアの対象となる苦痛には複合的なものが多く、基本的な知識や治療技術を習得しているといっても担当医一人で対応するわけではありません。必要に応じて多職種で構成される緩和ケアチームが包括的にサポートします」と里見先生は説明します。
「緩和ケアチーム」は、緩和ケアの専門知識を有する医師(身体的症状を担当する緩和ケア医など、精神的症状を担当する精神科医、精神腫瘍医など)や看護師(緩和ケア認定看護師、がん性疼痛看護認定看護師、がん看護専門看護師など)、薬剤師(緩和薬物療法認定薬剤師など)のほか、ソーシャルワーカー、公認心理師(臨床心理士)、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)、管理栄養士といった多職種で構成されています(下の表参照)。
【多職種で構成される緩和ケアチームを知る】
日本緩和医療学会「もっと知ってください 緩和ケア.net/緩和ケアはどこで受けられる?」などを参考に作成
日本緩和医療学会「もっと知ってください 緩和ケア.net/緩和ケアはどこで受けられる?」などを参考に作成
病棟を中心に活動する緩和ケアチームは、担当医や担当看護師からの依頼により患者や家族に対応します。「がん患者さんの40~70パーセントは痛みを有し、また4人に1人は抑うつ状態や適応障害になることがわかっています。症状やニーズに応じて専門的なサポートが必要になるため、緩和ケアチームに所属する緩和ケア医や精神腫瘍医に診療を依頼されることが多いです」。
また、緩和ケアチームが定期的に病室を回診し、カンファレンスを通して対応策を検討して担当医や担当看護師と連携しながらサポートをすることもあります。担当医や担当看護師では対応しきれないトータルペインにチームで取り組み、治療や療養に専念できる環境を整えることが病棟における緩和ケアチームの大きな役割です。
【トータルペインを和らげる緩和ケアの目的や方法を知る】
(1)緩和ケアの目的あらゆる苦痛を予防・緩和し、「QOL」を向上させる→患者さんだけでなく、その家族もケアの対象となります
(2)緩和ケアの方法多職種によるチーム医療を基本とし、苦痛に応じて専門家が連携して対応する→緩和ケアチームは、身体的症状を担当する医師(緩和ケア医など)、精神的症状を担当する医師(精神科医など)、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、公認心理師(臨床心理士)、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)、管理栄養士などのメンバーで構成されています
(3)緩和ケアを実施する期間がんと診断されたときからあらゆる段階のニーズに応じて行われる→入院中だけでなく、外来診療や在宅医療でも緩和ケアを受けられます
→手術後など治療をしない経過観察の期間中も緩和ケアを受けることは可能です
※次回へ続く。
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