クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。
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第47回 ショパン『ピアノソナタ第2番』
イラスト/なめきみほ
ショパンの葬儀で演奏された名旋律
今日10月17日は、“ピアノの詩人”ショパン(1810~49)の命日です。
フランス人の父とポーランド人の母のもとに生まれたショパンは、7歳にして現存する最初の作品『ポロネーズト短調』を作曲。8歳で初の公開演奏を行うなど、優れた才能によって将来を嘱望される存在でした。
自らの音楽を磨くために20歳でワルシャワを旅立ったショパンは、ポーランドの民族的なリズムを背景にした美しいピアノ曲の数々によって19世紀パリのサロンを魅了。その繊細で貴族的な風貌と相まってサロンの寵児となったのです。
しかし、その後二度と愛する祖国ポーランドの土を踏むことはなく、後半生の多くを過ごしたパリでその生涯を閉じます。10月30日にマドレーヌ寺院で行われた葬儀では、オーケストラ編曲された『ピアノソナタ第2番』の第3楽章「葬送行進曲」が演奏され、亡骸はパリのペール・ラシェーズ墓地に葬られます。しかし、遺言によって心臓のみがワルシャワの聖十字架教会に安置されています。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。