きものチンプンカンプン

古き良き美意識に遊び心を加えて── 阿川佐和子さん、母譲りの羽織を楽しむ

2023.10.25

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古き良き美意識に遊び心をひと匙

ちょっとレトロなピンクと黒の市松模様の羽織も、ジャケット感覚で着こなして。

ちょっとレトロなピンクと黒の市松模様の羽織も、ジャケット感覚で着こなして。

お母さまから譲られたきもの簞笥のアイテムを仕分けしていた時に、意外にもたくさん見つかったのが“羽織”でした。

「ちょっとしたお出かけの時には、必ず羽織を着ていた母の姿が思い出されます」。帯付きでは歩かないというお母さまの時代の古き良き美意識を、阿川さんも早速に実践。


花模様を織り出した紬に市松模様の羽織で、ノスタルジックな雰囲気とモダンさが調和した装いに。

花模様を織り出した紬に市松模様の羽織で、ノスタルジックな雰囲気とモダンさが調和した装いに。

「キリリとしながらも、妙に落ち着く」という前ページの言葉のとおり、コートのように訪問先で脱ぐ必要のない羽織は、まさにジャケット感覚のアイテム。衿の縦ラインがスタイルアップ効果をもたらすことはもちろん、帯のお太鼓に添ってしなやかな曲線を描く後ろ姿には奥ゆかしい美しさが漂います。


京都で求めたアンティークの帯を、渋い暈し染めのきものに合わせて。

京都で求めたアンティークの帯を、渋い暈し染めのきものに合わせ黒羽織で引き締めて。

小紋羽織ならきものの文様と遊び心あるコーディネートが楽しめ、無地の羽織ならすました印象に。娘時代の華やかなきものやアンティークの帯なども、羽織で程よく包み込めば“熨斗紙効果”で絶妙な加減の装いを叶えます。


この秋冬は“羽織復活の予感”を、阿川さんとご一緒に楽しんではいかがでしょう。

幾何学的な地紋の黒羽織なら、洒落ものとして活躍します。

幾何学的な地紋の黒羽織なら、洒落ものとして活躍します。

「この帯、ちょっと可愛すぎるかしら」と、一瞬締めることを躊躇した阿川さんですが、羽織の“熨斗紙効果”で安心してお出かけ。

「この帯、ちょっと可愛すぎるかしら」と、一瞬締めることを躊躇した阿川さんですが、羽織の“熨斗紙効果”で安心してお出かけ。


阿川佐和子(あがわ・さわこ)


阿川佐和子さん きものエッセイ©Akinori Ito

作家・エッセイスト 1953年東京生まれ。大学卒業後、テレビ番組でのリポーターを機に、報道番組でのキャスターや司会を務める。映画やドラマに出演するなど女優としても活躍。『週刊文春』(文藝春秋)では対談「阿川佐和子のこの人に会いたい」を、『婦人公論』(中央公論新社)、『波』(新潮社)他では多くのエッセイを連載。テレビ朝日系列『ビートたけしのTVタックル』にレギュラー出演中。『母の味、だいたい伝授』(新潮社)他、著書多数。

撮影/森山雅智(人物)、伏見早織(本誌・静物、取材) ヘア&メイク/田中舞子(VANITÈS) 着付け/石山美津江 構成・取材/樺澤貴子

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