連載 おいしい漢方【11月】 国際中医薬膳管理師であり漢方アドバイザーの久保奈穂実さんが、10月を健やかに過ごす養生の知恵と、疲れを癒すおいしい漢方レシピをお届けします。「養生」とは、病気になる前の「未病」の段階で体を整え、病気を未然に防ぐという中医学の考え。今日から無理なく、簡単養生&漢方生活を始めませんか? 読むだけで薬膳漢方の知識が身につく『1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』(世界文化社)から一部を抜粋してお届けします。
前回記事を読む>>11月の過ごし方、養生の知恵
文・久保奈穂実(くぼ・なおみ)11月8日は二十四節気の「立冬(りっとう)」。立冬から立春までが暦の上での冬です。
冬の養生法は「早寝遅起き」。太陽の動きに合わせて、早めに布団に入り、少しゆっくり目覚める。十分な睡眠で、体にエネルギーを蓄えることが大切な時期です。
寒いと外に出るのが億劫になりますが、気持ちまで鬱々としないよう、日向ぼっこで、自律神経や情緒を安定させてくださいね。
冬の寝起きを快適にするコツ・布団の中で手をぐーぱー
・起きる少し前に暖房のタイマーをセット
・起きるのが楽しみになるお気に入りの朝食かドリンクを用意する
・鍋の具材の選び方
冬の食養生で一番のおすすめが「鍋」。野菜も肉も魚もたっぷり食べられ、スープに溶け込んだ栄養を余すことなくとれて、お腹が温まって、胃腸も元気になります。
手間のかかる料理が面倒な日は、とにかく鍋にしましょう。具は不調に合わせて選んでみてくださいね。
・冷えていたら、にら・えび
・疲れていたら、きのこ・いも
・潤いが不足していたら、豆腐・豚肉
・肩こり、くすみには、ねぎ・鮭
・イライラには、春菊・せり
・エイジングケアには、ほたて・きくらげ
・冷えによる血流障害にさばとしめじ
朝晩の冷え込みが日ごとに増し、ふと鏡を見たら顔色の悪さにびっくり。肩こりもひどい気が……。これは冷えによる血流障害。こんな症状には「さばとしめじのねぎダクスープ」を。
さばは、血の巡りをよくする食材で、血流障害からくる不調の改善をサポートしてくれます。気血を巡らせるねぎと寒さをちらすしょうがも使うので、この季節にぴったりの一皿。
【さばとしめじのねぎダクスープ】
1.鍋に湯を沸かし、しめじを軽く煮たらさば缶を汁ごと投入。
2.鶏がらスープで味を調え、醤油を適宜。刻んだ小ねぎをたっぷりと千切りしょうがを乗せて完成。
・お風呂の健康効果
11月26日は「いい風呂の日」。毎日湯船につかってますか? お風呂にはたくさんの健康効果があります。
・血行がよくなる
・こりや疲れの改善
・自律神経が整う
・免疫力アップ
・心肺機能が高まる
・リラックス効果
・代謝アップ
ただし疲れているときや、肌が乾燥しているときは長風呂は厳禁。汗と一緒に元気と潤いが失われてしまうからです。体が温まってジワッと汗ばむ程度に入るのがおすすめ。あとはゆっくりぐっすり眠るだけ。
陰の気が最も強まる冬は、活力が下がり、春に備えてエネルギーを蓄える季節です。一年で最も寒く、肩こりや生理痛など血行障害による不調が起きやすくなります。また、秋よりさらに乾燥が進むので注意。冷えと乾燥から体を守り、無理をせずに過ごしましょう。
『1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』
1760円(世界文化社)
疲れたとき、なんだか辛いとき、漢方の知識があれば自分で自分を癒すことができます。本書では、SNSで大人気の漢方アドバイザー・久保奈穂実先生(なおみん)が、1日1テーマ、365日、あなたの毎日に寄り添う漢方アドバイスをお届けします。身近な食材でカンタンに作れる「養生レシピ」113点、今すぐ実践できる「セルフケア」のアイデア252点、1日ひとつ読むだけで、季節ごとの不調が整っていきます。
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久保奈穂実(くぼ・なおみ)/なおみん国際中医薬膳管理師。漢方アドバイザー。成城漢方たまりで年間約2000人の漢方相談・薬膳講師を行う。女子美術大学造形科卒業。芸能・音楽活動を行い、ハードな生活で身体のバランスを崩す。漢方薬に助けられた経験から興味を持ち、イスクラ中医薬研修塾にて中医学を学ぶ。SNSにて発信するやさしい養生知識や、カンタン薬膳レシピが大人気。総フォロワー約9万人(2023年4月現在)。