連載 おいしい漢方【12月】 国際中医薬膳管理師であり漢方アドバイザーの久保奈穂実さんが、12月を健やかに過ごす養生の知恵と、疲れを癒すおいしい漢方レシピをお届けします。「養生」とは、病気になる前の「未病」の段階で体を整え、病気を未然に防ぐという中医学の考え。今日から無理なく、簡単養生&漢方生活を始めませんか? 読むだけで薬膳漢方の知識が身につく『1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』(世界文化社)から一部を抜粋してお届けします。
前回記事を読む>>12月の過ごし方、養生の知恵
文・久保奈穂実(くぼ・なおみ)12月7日は二十四節気の「大雪(たいせつ)」。寒さが一段と厳しくなる、本格的な冬の到来。地域によっては雪がたくさん降り始める頃です。
この時期は、冷えによる腎(じん)の弱りで、様々な不調が増えてしまいます。腰まわりを冷やさないように気をつけ、山いもや、ブロッコリー、えび、くるみなどの補腎食材を積極的に取り入れるのが養生のポイントです。
腎の弱りによる不調・腰痛
・耳の不調
・抜け毛
・トイレが近くなる
・ビクビクしやすくなる
・毎日スプーン1杯で肌と髪がつやつやに
「効果がすごい!」とSNSやお客さんに大反響をいただいた、中医師の先生直伝のつや肌つや髪レシピ【黒ごま・くるみ・松の実ペースト】をご紹介します。毎日スプーン1杯でびっくりするほどうるツヤになりますよ。
【黒ごま・くるみ・松の実ペースト】黒ごま2:くるみ2:松の実1
上記を別々にすり鉢やミルサーで細かく砕いて混ぜ合わせ、お好みではちみつを加えて練る。容器に入れて冷蔵庫保存。
はちみつが苦手なら、黒ごま・くるみ・松の実を細かく砕いて混ぜたものを料理に使うのもおすすめ。「ほうれん草のごま和え」のごまの代わりにするだけの食べ方もおすすめです。中医学では、肌や髪は何よりも「ツヤ」重視。美しさだけでなく、健康状態のバロメーターになります。
・お粥は胃腸薬
お粥は胃腸薬にたとえられるほどの養生食で、「粥有十利(しょうゆうじり)」と言って、10もの効果があるとされています。
1.肌の色ツヤをよくする
2.気力を増す
3.寿命を延ばす
4.食べ過ぎを防ぐ
5.頭が冴え、言葉を滑らかにする
6.胸やけを防ぐ
7.風邪を防ぐ
8.飢えを満たす
9.のどの渇きを潤す
10.便通をよくする
薬膳では、お粥は米と水の割合で役割が変わるとされています。体調に合わせて作り分けてみてください。
体調に合わせたお粥の割合・ 胃腸が健康な状態で、元気を補いたい場合は五分粥(米1:水5)。卵粥がおすすめ。
・ 少し胃腸が疲れ気味のときは七分粥(米1:水7)。山いも粥がおすすめ。
・ 食べ過ぎで消化不良のときは十分粥(米1:水10)。大根やかぶのお粥がおすすめ。
・睡眠時間を十分とれないなら
肌のカサカサ。シミ、たるみ、くすみ。ニキビ、毛穴、肌のハリツヤ。どれが気になってもやっぱり「早く寝る」が一番有効です。とはいえ忙しいと、十分な睡眠時間がとれないもの。そんなときは、睡眠のタイミングを工夫してみましょう。
夜の11時から2時の間にぐっすりと眠れると、他の時間に眠るよりも回復力が高まり、効率的に心身を休ませられます。もしも4時間しか眠れないなら、2時から6時に眠るより、11時から3時に眠るほうがよいということです。忙しい時期は、アロマやホットドリンクと合わせて、自分を上手に休ませて。
・仕事納めには頑張った自分を労って
仕事納めの頃ですね。一年間、お仕事お疲れさまでした。いろいろあったかと思いますが、「終わりよければすべてよし」。最終日は笑顔で過ごせるといいですね。
「自在名医」と言って、自分を一番分かってあげられるのは自分。自分を一番褒めてあげられるのも自分。自分を一番労ってあげられるのも自分です。一年間頑張った心身を労ってあげましょう。
『1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』
1760円(世界文化社)
疲れたとき、なんだか辛いとき、漢方の知識があれば自分で自分を癒すことができます。本書では、SNSで大人気の漢方アドバイザー・久保奈穂実先生(なおみん)が、1日1テーマ、365日、あなたの毎日に寄り添う漢方アドバイスをお届けします。身近な食材でカンタンに作れる「養生レシピ」113点、今すぐ実践できる「セルフケア」のアイデア252点、1日ひとつ読むだけで、季節ごとの不調が整っていきます。
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久保奈穂実(くぼ・なおみ)/なおみん国際中医薬膳管理師。漢方アドバイザー。成城漢方たまりで年間約2000人の漢方相談・薬膳講師を行う。女子美術大学造形科卒業。芸能・音楽活動を行い、ハードな生活で身体のバランスを崩す。漢方薬に助けられた経験から興味を持ち、イスクラ中医薬研修塾にて中医学を学ぶ。SNSにて発信するやさしい養生知識や、カンタン薬膳レシピが大人気。総フォロワー約9万人(2023年4月現在)。