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チャイコフスキーの運命を予告するかのような重々しい響き。交響曲第6番『悲愴』

2023.10.28

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クラシック音楽を楽しく学べるトリビアを毎日お届け。

クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。連載一覧はこちら>>

第58回 チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』

イラスト/なめきみほ

イラスト/なめきみほ

作曲者の運命を予告したかのような絶望感

今日10月28日は、チャイコフスキー(1840~93)の交響曲第6番『悲愴』の初演日です。(1893年)

交響曲第4番&5番の成功によって名声を勝ち得たチャイコフスキーが「創作の最後を飾るような雄大な交響曲を作りたい」という思いのもとに書き上げたこの曲は、初演後に弟モデストの発案によって『悲愴』と命名。その直後にチャイコフスキーが急死するという数奇な運命のもとに生まれた名曲です。

一般的な交響曲ならば華やかさの中で終わる終曲が、極めて重く、絶望感を思わせる響きの中に消えていくあたりも『悲愴』ならでは。チャイコフスキーの運命を暗示するかのようなエンディングです。


そのチャイコフスキーの魅力は、なんといっても印象的なメロディです。有名な『白鳥の湖』の冒頭を飾る「情景」や、『くるみ割り人形』の「行進曲」などは、一度聴いたら耳について離れません。まさに、チャイコフスキーが、クラシック史上屈指のメロディメーカーであることの証明でしょう。



田中 泰/Yasushi Tanaka

一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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