クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。
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第61回 ムソルグスキー『禿山の一夜』
イラスト/なめきみほ
ハロウィンパーティを盛り上げる極めつきの1曲
今日10月31日は、“キリスト教の諸聖人に祈りを捧げる日の前夜祭”であるケルト由来のお祭り「ハロウィン」です。
古代ケルトでは、10月31日の夜に先祖の霊が戻ってくると信じられていました。しかし、悪霊も一緒にやって来て、現世の人間たちに悪さをすると言い伝えられていたことから、人々は、仮面や仮装をして悪霊の仲間に見せかけて身を守り、魔除けの焚き火を行ったのだそうです。この風習がヨーロッパからの移民とともにアメリカに渡り、子どもでも楽しめるイベントに変化したのが現代のハロウィンです。
このイメージにぴったりな音楽といえば、ムソルグスキーの交響詩『禿山の一夜』。「地下から湧いてくる不気味な声と闇の精たちの登場。闇の王チェルノボーグの出現と彼に対する賛美と暗黒ミサ。魔女たちの饗宴。この狂乱が絶頂に達した時に村の教会の鐘が鳴り始め、闇の精たちは退散。そして夜明け」
ムソルグスキーによるこの標題どおりの音楽が、ハロウィンパーティを盛り上げてくれること間違いなし!
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。