ゴッホと静物画 伝統から革新へ
2020年に予定され、コロナ禍で延期を余儀なくされていたゴッホの展覧会が、いよいよ開催される。本展を担当するSOMPO美術館上席学芸員の小林晶子さんにお話を伺った。
「延期による内容の変更は特にありませんが、2023年はゴッホ生誕170年にあたり、当館では20年ぶりとなるアニバーサリーイヤーでの開催となりました」
フィンセント・ファン・ゴッホ《 髑髏(どくろ)》1887年 ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)Van Gogh Museum, Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)
フィンセント・ファン・ゴッホ《麦わら帽のある静物》 1881年 クレラー=ミュラー美術館、オッテルロー© 2023 Collection Kröller-Müller Museum,Otterlo, the Netherlands
人物画や風景画も多く手がけたゴッホの静物画に焦点をあてる。
「人物画を志していたゴッホは、初期には静物画を油彩の技術を磨くための習作とみなしていたようです。しかしパリ滞在中(1886〜87年)に、色彩の研究のため、精力的に花の静物画に取り組みました」
フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》 1888年 SOMPO美術館
フィンセント・ファン・ゴッホ《アイリス》 1890年 ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)Van Gogh Museum, Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)
その取り組みが実を結んだ《ひまわり》と《アイリス》を、本展では同じ会場で鑑賞することができる。
「ゴッホは《アイリス》で黄色と紫の対比を追求し、《ひまわり》では、黄色のみを使い、色ではなく筆遣いでモチーフを際立たせることを試みました。この2大名作から、そうしたゴッホの研究の痕跡を読み取っていただけることと思います」
フィンセント・ファン・ゴッホ《赤と白の花をいけた花瓶》1886年 ボイマンス・ファン・ブーニンヘン美術館、ロッテルダム Museum Boijmans Van Beuningen, Rotterdam
ゴッホと静物画 伝統から革新へ
SOMPO美術館
~2024年1月21日
休館日:月曜、12月28日~1月3日(1月8日は開館)
開館時間:10時~18時(2023年11月17日と12月8日は20時まで)
観覧料:一般2000円ほか
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
URL:
https://gogh2023.exhn.jp※入館は閉館30分前まで