服部道子プロに教わる 人生を豊かにするゴルフ ゴルフは老若男女、上級者や初心者にかかわらず、一緒にプレーを楽しめるスポーツです。自然と一体になりながら、脳と体を刺激する。人生100年時代、ゴルフを通じて健康に豊かに過ごすための秘訣を服部道子プロから教わります。
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子育てで学んだ“完璧を目指さない”こと
女子アスリートのキャリアにとって、結婚と出産は大きな転換点。私は2009年に結婚し、翌年に現役引退、13年に長男を出産しました。今は、日本ゴルフ協会や日本オリンピック委員会の理事などを務めています。仕事と家庭をうまく両立できているように見えるかもしれませんが、葛藤の日々です。それでも私が前向きでいられる理由をお話ししたいと思います。
ゴルフ一筋で生きてきた私は、一人の社会人として世間を知らないという思いを抱えていました。引退を機にゴルフ界から退き、私のことをプロゴルファーだと知らないかたと交流することで、さまざまな環境や考えがあることを知り、“自分が見ている世界はほんの一部である”と視野を広げていただきました。
ビジネスマンに向けた講演会も多く開催し、メンタルコントロール術などが語られる。今年7月、北海道。
東日本大震災を機に、社会に対して微力であっても何かしていきたいと思い、経験を活かせるゴルフ界で仕事復帰を決意。そして違う分野や職種、年代のかたがたと仕事をさせていただく中で、自分の価値観で物事を判断しないことの大切さを学びました。
2021年9月の日本女子オープン。東京オリンピックで銀メダルを獲得した稲見萌寧さんの報奨授与式に、コーチを務めた服部プロもお祝いに駆けつけた。写真/スポニチ〈アフロ〉
現役時代は、完璧を突き詰めることが仕事でしたが、子育てはそうはいきません。サポートの遠征や試合解説などとの両立で、心にゆとりが持てない時も、違うフィールドで出会ったかたがたのおかげで、たとえ自分が失敗したと思っても見方を変えれば、失敗ではなく次に繫がる成功と発想を転換できるようになりました。
自分が思い描く“完璧を目指す必要はない”。今は、失敗して学んでを繰り返し、学び続けていくことが人生であり、生きるということなのではないかと感じています。
育児とゴルフ、スポーツの普及の仕事を両立する服部道子プロ。写真・2022年8月に全米女子アマを制し、日本勢として1985年の服部プロ以来の快挙を果たした馬場咲希さん。日本女子オープンで特別表彰が行われ、服部プロより銀杯が贈られた。写真/日刊スポーツ〈アフロ〉
積極的に若手の指導も行う服部プロ。指導後は開催地、鹿児島県のメディアからの取材も。
〔服部道子プロに教わりました〕
Q ゴルフの技術面以外でプロとして研鑽していることはありますか
A プロとしての立ち居振る舞い、心がけを大切にしていますプロになると2年間、1週間の新人教育合宿が行われ、自分が魅力的に見える色や服装、化粧、壁を作らない会話の仕方、食事のマナーに関しては葡萄の種の出し方まで細かく指導を受けます。
常に見られる意識を持ち、きちんとした振る舞いを修得するのもプロの務めです。私は、ゴルフ関係以外のかたと積極的にかかわりを持つようにしています。先入観を持たず相手と接し、話をよく聞きよい面に目を向ける。
知らない世界を知ることで、視野や視点が広がります。そういう心がけは、プレーにも好影響をもたらすと思います。
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服部道子(はっとりみちこ)
11歳からゴルフを始め、1984年に日本女子アマ選手権を当時の史上最年少で初制覇。1985年、全米女子アマを当時の史上最年少かつ日本人として初優勝。アメリカ・テキサス大学に留学しNCAAリーグで10勝。1998年に年間5勝を挙げて賞金女王に輝く。現在はゴルフオリンピック日本代表女子コーチを務める。著書に『好転力』(世界文化社)。ゴルフトーナメントのテレビ解説やコラム執筆でも活躍。
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(株)世界文化社 家庭画報編集部
「ゴルフ連載」係
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