病気の原因と抵抗力(生命力)のせめぎ合いを「虚実」という概念で表します。
虚
•不足の意味
•虚証は体力が低下し病気への抵抗力が衰えている状態
実
•充実の意味
•実証は体力があり病気と闘う力がある状態
植物など天然素材の生薬を原料とする漢方薬は概して体に優しく種類も豊富で、体質改善の働きをするため、症状が多岐にわたる更年期症状や月経関連症状に効果を発揮しています。
漢方薬は生薬を何種類か組み合わせて作られる。生薬の主な原料は植物の根、皮、果実、種子など薬効成分のある天然素材で、それらを乾燥させ細かくして調合する。
同じ病名でも漢方薬には体質や症状によって異なる選択肢があります。
月経時に下腹部痛のほか頭痛、吐き気、胃痛、便秘、不眠などの症状が起こり、社会生活に支障をきたす病気。ベースにあるのは瘀血。瘀血にどのような気血水の変調が絡んでいるかによって漢方薬を選択します。
・のぼせやニキビを伴う(瘀血が主)→桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
・色白でむくみやすい、冷えを伴う(瘀血+水毒)→当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
・ 不定愁訴が多い、冷えのぼせを伴う(瘀血+気逆)→加味逍遙散(かみしょうようさん)
月経の3~10日前から腹痛、イライラ、憂うつなど精神的・身体的症状が起こり、月経が始まると軽くなる病気。ベースにあるのは瘀血と気逆。加味逍遙散(かみしょうようさん)を用い、効果が不十分であれば以下の漢方薬を処方します。
・イライラ感が強く、甘いものが食べたくなる→桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
・ストレスが強く、胃痛がある→安中散(あんちゅうさん)
・ストレスが強く、気持ちが落ち込む→香蘇散(こうそさん)
*NPO法人性差医療情報ネットワーク「女性外来マップ」では、女性外来を開設している医療機関(2018年現在約300か所)のリストを公開。
URL:http://www.nahw.or.jp/hospital-info
*「女性外来オンライン」(天野惠子先生主宰)では、天野先生ご自身が厳選した女性の健康の回復や維持に役立つ信頼性の高い情報を発信しています。
公式サイト「女性外来オンライン」:https://joseigairai.online/
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この記事の掲載号
参考/『女性外来のための漢方処方ガイド』(じほう刊) イラスト/佐々木 公〈sunny side〉 取材・文/浅原須美