〔連載〕天野惠子先生のすこやか女性外来 日本の女性医療、性差医療の先駆者で、ご自身の更年期体験も山ほどお持ちの、天野惠子先生の連載「すこやか女性外来」。天野惠子先生が推薦する全国・女性外来を紹介します。
中部ろうさい病院 女性総合外来 上條美樹子先生
脳神経内科の専門性を生かし、病気を見逃さない。悩み全般を受け止める“よろず相談外来”
上條美樹子先生(かみじょう・みきこ) 愛知医科大学医学部卒業、弘前大学医学部大学院修了。米ミシガン大学神経病理学教室上級研究員等を経て2001年中部労災病院第三脳神経内科部長。02年女性総合外来開設と同時に担当医となる。女性診療科部長、働く女性メディカルセンター長兼任。神経内科専門医、認定内科医。
より詳しい検査を行い“異常なし”ですませない
2002年、主に働く女性の健康相談を目的に開設された女性総合外来。20年間に相談内容も変化し、乳腺・婦人科系の病気や尿失禁など女性特有の症状から、心の問題が絡む心身症や適応障害などへ主軸が移っています。
上條先生らが編集した『女性総合診療マニュアル』。
ドクターショッピングを重ねて来る人も多い中、あらゆる症状を受け止めて解決への道案内をする“よろず相談外来”として患者と向き合っています。
当外来のスタッフ。左から糖尿病・内分泌内科医の今峰ルイ先生、上條先生、看護師の片岡亜衣子さん、臨床心理士の松田史帆さん。
担当医で脳神経内科専門の上條美樹子先生によると、重要なのは病気の鑑別診断。一般的な検査項目より枠を広げ、考えうる病気の有無を詳しく調べます。
脳神経内科診療の三種の神器。神経の状態や瞳孔を調べる。
「新たに膠原病やパーキンソン病などが見つかることも珍しくありません。診断がつけば専門の診療科を紹介し、結果が正常でも“異常なし”で終わらせません。“あなたに症状があれば病気です”とのスタンスで、患者さんと一緒に原因を探し、解決の糸口を見つけていきます」
同外来で訴えの多い頭痛、しびれ、めまい、物忘れは脳神経内科領域の症状でもあり、上條先生はまさに適任といえます。
体調不良の背景にある心の問題に気づく
対話を通して背景にある家庭や職場の人間関係の悩み、介護の負担など心の問題に気づくことが治療の第一歩となります。
カウンセリングを行う臨床心理士の松田さん。
診察には看護師や臨床心理士も同席して情報を共有し、必要に応じてカウンセリングも行います。専門的な治療を要する場合は、精神科や心療内科を紹介しますが、「つながりが切れることはありません。心配なことがあったらまた来てください。他科での治療がうまく進むように患者さんを支え、励ますのも私たちの役目です」。
市民向け女性医療フォーラムも開催。
中部ろうさい病院
中部ろうさい病院
愛知県名古屋市港区港明1‐10‐6
TEL:052(652)5511(代表)
https://www.chubuh.johas.go.jp/
*NPO法人性差医療情報ネットワーク「女性外来マップ」では、女性外来を開設している医療機関(2018年現在約300か所)のリストを公開。
URL:
http://www.nahw.or.jp/hospital-info*「女性外来オンライン」(天野惠子先生主宰)では、天野先生ご自身が厳選した女性の健康の回復や維持に役立つ信頼性の高い情報を発信しています。
公式サイト「女性外来オンライン」:
https://joseigairai.online/
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