My Delicious 喜ばれる手土産 贈り物上手のみなさんから、誰からも喜ばれるおいしい逸品を教えていただきます。今回は、矢島 操さん(陶芸家)におすすめを伺います。
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地元・滋賀の銘菓をふるさとを写した器に盛りつけて
「穏やかな時が流れる、豊かな里山そのものでした」。滋賀県大津市で作陶する矢島 操さんは以前、同郷の和菓子店「叶 匠壽庵(かのう しょうじゅあん)」が営む「寿長生の郷(すないのさと)」を訪れたことを振り返ります。
小豆と求肥の優しいハーモニーを楽しむ
「梅林の中に陶房があり、その側の登り窯を使わせていただきました。素晴らしい茶室も拝見したのですが、そこで使う炭も郷の木から作られていて。自然に敬意を払い、寄り添う美意識が、揺るがない味に繫がっていると感じました」。
椿や鹿が描かれた「カキオトシ楽園台皿」にあもを盛ってティータイム。薄茶は「赤まきイロエ碗」に。「お正月には必ずあもを常備して、おせちの後、甘いものが食べたくなったときにいただきます。好きに切り分けられるので、急な来客にも重宝するんですよ」と矢島さん。
そのときの郷の風景や季節を思い、今回特別に作った搔き落としの大皿に、代表銘菓の「あも」を盛りつけました。
「あも」のほか、栗やいもなど季節のお菓子を詰め合わせた「冬ハレ」3240円/叶 匠壽庵
「ほっこりとくつろぎたいとき、お薄やほうじ茶と一緒にいただきます。初めてお目にかかるかたには『自分が暮らす地域のお菓子です』とお渡しするんです」。
ふっくら炊かれた小豆と柔らかく口溶けのよい求肥は、口元がほころぶ優しい味わいです。
矢島 操(やじま・みさお)さん
陶芸家。京都生まれ。京都精華大学造形学部美術科陶芸卒業。現在は滋賀県大津市にて制作。搔き落としや染付、赤絵など、さまざまな表現技法で、季節の移ろいを写した器を制作している。