写真/fox☆fox〈PIXTA〉
12月・ツワブキ
長い冬、一生懸命に特別な花を咲かせて
選・文=小林浩幸(雑草生態学者)ツワブキは日本の在来種で、分類学の父、リンネが最初につけた学名には日本を意味する「ジャポニカ」が含まれる。
写真/Rise〈PIXTA〉
ツワブキを、俳人の三橋鷹女は「だんまりの花嫌ひな花」と詠んだ。もともとは海岸付近に分布する南方系の植物で開放的な明るい場所にも生育するのだが、あまり日の当たらない庭木の株もとでは、夏の間ぼってりとした葉だけを茂らす。
その様子はだんまりにも見え、それでいて冬枯れの頃になって美しい花を咲かせる生き方にあざとさを感じたのだろうか。
不況、災害、戦争の影響と、沈滞ムードが長く続く日本だが、そういうときだからこそ静かに、でも明るく、特別な花を咲かせたい。
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