想像を超えた世界観を創る
ミュージカル『イザボー』望海風斗さんインタビューミュージカル作品では、役の心情を吐露するのが音楽の役割でもあると私は思います。歌うシーンにもよりますが、そういう意味の曲のときは役の心情はもちろんのこと、その音楽から引き出される自分の心情も隠さずに曲に乗せて歌うようにしています。そしてその音楽を通して、お客さんと共感しつながることのできる時間にすることと、歌うことで自己満足してはいけないということもすごく意識しています。
今回のミュージカル『イザボー』で私が演じる王妃イザボーは悪女として捉えられることの多い女性です。とはいえ百年戦争の時代で王妃という境遇で生き、そうした状況でも決して屈することなく、女性の可能性みたいなものをすごく広げている存在です。
イザボーを通して、時代を超えても変わることのない人間の底力や、過酷な境遇で1人の女性が生き抜いていくことを、自分自身の中に眠っている力で表現できたらいいなと思っています。彼女がやるべきことを必死にやっている点には私も共感できるので、あえて悪女を演じようという思いはありません。
すでに聴かせていただいた曲はロックなので、想像もしていなかった世界観を感じ取りました。自然と自分たちのエネルギーや感情を出しやすいのではないかと思っています。衣裳などによって見た目はクラシカルなのですが、音楽の力で今起こっていることだというふうにも感じていただけるのではないでしょうか?
演出の末満健一さんとは初めてご一緒するのですが、脚本を拝見した際にみんなで重要なことを肉付けする作業が待っていると思いました。末満さんが繊細に描かれたビジョンや世界観を私たちが汲み取って、オリジナリティを加えていく作業をすることで、お互いの想像を超えた世界を描けたらと思っています。
望海風斗1983年、神奈川県生まれ。2003年宝塚歌劇団入団、同年花組に配属。2014年雪組に組替え。2017年雪組トップスターに就任。2021年に宝塚歌劇団退団。退団後はミュージカル『ガイズ&ドールズ』(2022)や『ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル』(2023)など、舞台を中心に活躍している。
MOJOプロジェクト-Musicals of Japan Origin project-
ミュージカル『イザボー』
百年戦争の時代にフランス宮廷で欲望のままに生きて、国を破滅させてしまった最悪の王妃といわれるイザボー・ド・バヴィエールを描いた物語。演出は末満健一が手がける。
主役のイザボーを演じるのは演技力で高く評価されている望海風斗。ほかに、甲斐翔真、上原理生、中河内雅貴、上川一哉、那須凜、石井一孝などが出演。
東京建物Brillia HALL2024年1月15日~30日
S席1万2500円ほか
ワタナベエンターテインメント:03(5410)1885
URL:
https://isabeau.westage.jp/※大阪公演あり